冥王星の衛星に「ケルベロス」「ステュクス」命名
【2013年7月3日 国際天文学連合】
冥王星の4番目と5番目の衛星が、ギリシャ神話に登場する冥界の番犬と三途の川にちなみ、それぞれ「ケルベロス」「ステュクス」と命名された。
冥王星にはこれまでに5つの衛星が見つかっており、そのうち3つはカロン、ニクス、ヒドラと名付けられている。2011年と2012年に発見された2つは符号のみが与えられていたが、このたび2011年発見のP4が「ケルベロス」(Kerberos)、2012年のP5が「ステュクス」(Styx)と新たに命名された。
冥王星の衛星名はギリシャ・ローマ神話の冥界のエピソードにちなむというルールがあり、ケルベロスは冥界の番犬、ステュクスは冥界と現世の間を流れる川(および同名の女神)がもとになっている。
今年2月、SETI研究所のウェブサイトで命名候補の募集と投票が行われ、ケルベロスは2番目、ステュクスは3番目に多くの票を集めた。
得票数トップは「スタートレック」のカーク船長ことウィリアム・シャトナーさんが提案したヴァルカン(Vulcan)だった。これは同シリーズの登場人物スポックのふるさとでもあり、またローマ神話の火山の神ウゥルカーヌスの名前でもあるが、天文学ですでに使われている名前であること(注)、またウゥルカーヌスは冥界と関わりがないことから、国際天文学連合による最終判定では却下となった。
冥王星に向かって航行中のNASAの探査機「ニューホライズンズ」が2015年に接近したとき、これらの衛星の姿が明らかになるだろう。さらに別の衛星が発見される可能性もある。
注:「ヴァルカン」 19世紀の仏天文学者ルヴェリエが存在を提唱した、水星の内側を公転すると考えられた仮想の惑星。