ニューホライズンズ最接近まで1か月、冥王星の最新画像
7月14日の冥王星接近まで1か月となり、探査機「ニューホライズンズ」から送られてくる画像の解像度がますます高くなってきている。5月29日から6月2日の間に約5000万kmの距離から撮影された最新画像には、はっきりとした明暗がとらえられており、冥王星が複雑な世界であることがわかる。
「冥王星の表面が一様ではなくバラエティに富んでいること、北半球にかなり暗い地形が存在していること、最も暗い地形や最も明るい地形は赤道やそのすぐ南に位置していることなどが見て取れますが、詳しいことはまだなぞです」(主任研究員 Alan Sternさん)。
「これまでにも明暗の領域があることはわかっていましたが、最新の画像によって、より複雑で微妙な違いがあることがわかってきました。7月初めには、それらの領域をターゲットにした分光観測データが得られる予定です。表面の特徴が一体何であるのか、何によってそれが引き起こされているのかなどがわかるでしょう」(プロジェクト・サイエンティスト Hal Weaverさん)。
今週初めの時点で、ニューホライズンズは冥王星まで3500万kmまで接近している。機器の状態は良好で、衝突要因となりうる未知の衛星や環も見つかっていない。「新たな展望」の本番の幕が開くのは、もうすぐだ。
〈参照〉
- NASA:
〈関連リンク〉
- 冥王星探査機ニューホライズンズ: http://pluto.jhuapl.edu/
- NASA: http://www.nasa.gov/
- 星ナビ.com:
- 2015年7月号 特集「ニューホライズンズ」「冥王星を探す・撮る」「発見者クライド・トンボー」
- こだわり天文書評:
- 「太陽系はここまでわかった」
- 「太陽系ビジュアルブック 改訂版」
- 「なぜ、めい王星は惑星じゃないの?」
- 「新しい太陽系」
- 「Planets Beyond - Discovering the Outer Solar System」
- 「IS PLUTO A PLANET?」
- 「Pluto Files」
〈関連ニュース〉
- 2015/06/09 - 冥王星の衛星「ニクス」と「ヒドラ」、予測不可能な不規則自転
- 2015/05/15 - ニューホライズンズがとらえた冥王星の衛星たち
- 2015/04/30 - 見えてきた冥王星表面の明暗、極冠の存在の可能性も
- 2015/04/16 - 接近探査まで3か月、冥王星と衛星カロン
- 2015/02/05 - 最接近まであと半年 「ニューホライズンズ」がとらえた冥王星
- 2014/08/26 - 探査機ニューホライズンズ、海王星軌道を越えて冥王星へ
- 2014/08/07 - アルマ望遠鏡で冥王星の軌道を精密測定
関連記事
- 2024/09/10 カイパーベルトの外側に10個以上の天体を発見
- 2024/07/02 カイパーベルトは予想外に広い?鍵となる天体を「すばる」で発見
- 2021/01/15 ハッブルの10倍暗い宇宙を見たニューホライズンズ
- 2020/12/28 氷天体の環境を左右するガスハイドレートの形成
- 2020/06/18 冥王星の大気崩壊が急速に進行
- 2020/06/17 地球とニューホライズンズから星の視差測定に成功
- 2019/08/15 冥王星の14の地名を新たに承認、ローウェル領域、ライト山など
- 2019/07/02 太陽系外縁天体の衛星は巨大天体衝突で形成された可能性
- 2019/05/28 冥王星の内部海の鍵はメタンハイドレート
- 2019/05/24 「ウルティマ・トゥーレ」は「ウルティマ」と「トゥーレ」が合体してできた
- 2019/02/18 最果ての天体ウルティマ・トゥーレはパンケーキ形だった
- 2019/01/30 ウルティマ・トゥーレの鮮明な画像
- 2019/01/07 ニューホライズンズ、65億km彼方のウルティマ・トゥーレをフライバイ探査
- 2018/08/31 ニューホライズンズ、ウルティマ・トゥーレを初検出
- 2018/06/07 ウルティマ・トゥーレに向けて目覚めたニューホライズンズ
- 2018/05/31 冥王星は10億個もの彗星衝突でできたのかもしれない
- 2018/04/13 「キューブリック山」など、冥王星の衛星カロンの地名を正式承認
- 2018/03/16 ニューホライズンズの次の目標天体は「世界の果て」
- 2018/02/19 ニューホライズンズ、28年ぶりに史上最遠撮影記録を更新
- 2017/09/14 冥王星の地形に初の公式名称、「ハヤブサ大陸」など