ニューホライズンズ、28年ぶりに史上最遠撮影記録を更新
【2018年2月19日 NASA】
1990年2月14日、NASAの探査機「ボイジャー1号」は地球から約60.6億kmの彼方で地球の方向を振り返り、遠ざかる太陽系の姿を60枚の画像に収めた。そのときに撮影された1枚は「ペイル・ブルー・ドット(Pale Blue Dot)」と呼ばれ、地球が淡く青い点として写されている。
それから約28年後の昨年12月5日、NASAの探査機「ニューホライズンズ」は当時のボイジャー1号よりもさらに遠い、地球から約61.2億kmの距離に到達し、長焦点カメラ「LORRI」を使って、りゅうこつ座の方向にある散開星団「願いの井戸星団(NGC 3532)」を撮影した。この画像は、これまでで地球から最も離れた場所で撮影された歴史的な一枚となった。
ニューホライズンズはその2時間後にはカイパーベルト天体「2012 HZ84」と「2012 HE85」も撮影し、早くも自らの記録を更新している。
2015年7月に冥王星系の探査を行ったニューホライズンズは太陽系の外惑星の軌道を越えた史上5機目の探査機であり、撮影以外にも数多くの最遠記録を打ち立てている。昨年12月9日には、次の探査目標天体であるカイパーベルト天体「2014 MU69」(以下MU69)への接近に向けて軌道修正を目的としたエンジン噴射を行ったが、これは史上最も地球から離れた場所での軌道修正である。MU69への接近通過は2019年1月1日の予定で、このミッションは人類の宇宙探査史上で最も遠い天体との遭遇となる。
2017年に始まったニューホライズンズの延長ミッションでは、20個以上の天体の観測を目指している。ターゲットにはカイパーベルト天体や準惑星、ケンタウルス族天体(かつてカイパーベルト天体だったが、海王星などの摂動によってこれらの惑星より内側に入る不安定な軌道を持つようになったもの)が含まれている。この延長ミッションで、研究者たちは目標天体の画像から天体の形や表面の特徴、衛星や環の有無を明らかにしようとしている。同時に探査機は、飛行経路上のプラズマや塵、中性ガスについても継続観測を続けている。
ニューホライズンズの状態は良好で、現在は冬眠モードにある。米・ジョンズ・ホプキンズ大学応用物理研究所のミッション管制官たちは6月4日に探査機を冬眠から復帰させ、探査機のシステムチェックなどを開始してMU69への接近に備える予定だ。
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