ニューホライズンズがとらえた冥王星の衛星たち
【2015年5月15日 NASA/New Horizons】
NASAの探査機「ニューホライズンズ」が先月とらえた冥王星最大の衛星「カロン」の姿は、4月30日のアストロアーツニュース「見えてきた冥王星表面の明暗、極冠の存在の可能性も」で紹介した通りだ。
ニューホライズンズはその後4月25日から5月1日にかけて、残る4つの衛星を撮影した。2013年7月にカロン、2014年7月にヒドラ、2015年1月にはニクスの姿をとらえているが、今回ついに最小の衛星ステュクスとケルベロスも見えてきた。両衛星はニクスやヒドラに比べると明るさが20分の1から30分の1ほどしかない、ひじょうにかすかな天体だ。
この5月半ばからニューホライズンズは、探査機の行く手を阻むことになるかもしれない新たな衛星や環を探し始める。「ニューホライズンズは今、発見の出発点にいます。冥王星接近に伴ってもしこれら5つの衛星以外に天体が観測されれば、それは今まで誰も目にしたことのない新たな世界です」(ミッション・サイエンスメンバーのJohn Spencerさん)。
〈参照〉
- NASA: NASA's New Horizons Spots Pluto's Faintest Known Moons
- New Horizons: New Horizons Spots Pluto's Faintest Known Moons
〈関連リンク〉
- 冥王星探査機ニューホライズンズ: http://pluto.jhuapl.edu/
- NASA: http://www.nasa.gov/
- 星ナビ.com 金井三男のこだわり天文書評:
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