木星は太陽系の最古参

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鉄隕石に含まれる同位体の調査から木星の核の形成年代が初めて明らかになり、木星が太陽系内で最も古い惑星であることが示された。

【2017年6月19日 Lawrence Livermore National LaboratoryInstitut für Planetologie, Universität Münster

木星は太陽系で最大の質量を持つ惑星だ。その重力によって他の天体に大きな影響を与えるため、木星が太陽系の歴史においてどの段階で形成されたのかを知ることは、太陽系がどのようにして現在の姿に進化したのかを理解する鍵となる。木星は比較的初期に形成されたことがモデルから予測されてきたが、これまでその形成年代は明らかになっていなかった。

木星
木星(提供: NASA)

米・ローレンス・リバモア国立研究所と独・ミュンスター大学・惑星学研究所の研究チームは木星の形成年代を明らかにするため、鉄隕石中に含まれる物質、モリブデンとタングステンの同位体を調べた。「地球や火星、月や小惑星などとは違い、木星のサンプルを直接手に入れることはできません。そこで私たちの研究では、小惑星由来の隕石に含まれる同位体を利用して木星の年齢を推測しました」(ローレンス・リバモア国立研究所 Thomas Kruijerさん)。

同位体の分析から、鉄隕石は起源の異なる2つの、星雲状に集まった塵やガスから形成されたことが明らかになった。それぞれの雲は木星軌道の内と外に同時に存在しており、太陽系形成後の100万年から300~400万年の間に遠く隔てられていた時期があったようだ。

「2つの雲の間における物質交換が妨げられた原因として最も妥当なメカニズムと考えられるのが、木星の形成です。原始太陽系円盤のガスが消えるずっと以前に木星の固体核が形成され、それによって原始太陽系円盤内に隙間ができ、2つの雲の間で物質の行き来がなくなったのです」(Kruijerさん)。

これまで、木星や土星など巨大ガス惑星の形成では、まず地球質量の約10~20倍という大きな固体核の成長が起こり、その後で核へのガスの降着が続くと考えられてきた。つまり、巨大ガス惑星の核は周囲にガスが残っている早いうちに形成されていなければならないことになる。

今回、研究チームによってその予測が確認され、さらに隕石中の同位体を利用することで木星の核の形成年代を「太陽系形成後から100万年以内」と正確に推定できた。つまり、木星が太陽系内で最も古い惑星であることが初めて明らかにされた。木星の核は太陽系形成から100万年以内に地球質量の約20倍に成長し、そのさらに300万~400万年後までに地球の50倍まで成長が続いたと考えられる。その後、木星にいわゆる「ガスの暴走的降着」が起こり、現在のような地球の300倍以上もの質量を持つ巨大惑星になったのだろう。