声優の緒方恵美さんがアルマ望遠鏡のPVで語りかける
【2018年6月15日 星ナビ編集部】
紹介:小野寺幸子さん(明星大学理工学部総合理工学科 准教授)
(「星ナビ」2018年7月号の記事より一部を抜粋)
星ナビ編集部から「アルマ望遠鏡の新しいプロモーションビデオ(PV)でナレーションを担当された、声優の緒方恵美(おがためぐみ)さんにインタビューしてみませんか?」と連絡が来たとき、ちょうど私は緒方さんのCDを聴いているところでした。そう、私は長年の緒方ファン。しかも研究の専門は電波天文学。この機を逃す手はありません。緒方さんは宇宙に対して一体どんな思いをお持ちなのだろう、とドキドキしながらインタビューしてきました。
小学生のころから渋谷の旧・五島プラネタリウムや国立科学博物館の天体観望会に通っていたという緒方さん。得意科目は数学・物理・地学と「ガチ」の理数系で、なんと科学雑誌『Newton』を0号から愛読していたそうです。ミュージカル・声優の道に進んでからは忙しく、宇宙からは離れていた緒方さんですが、今でもたまに、富士山5合目でオープンカーから流星群を見たり、羽田空港に併設の「プラネタリウム スターリー カフェ」で数時間過ごしたりすることもあるとか。昨年、岐阜にある東京大学宇宙線研究所「スーパーカミオカンデ」の一般公開に参加した際、水槽内部(のタペストリー前)で撮った写真を某アニメの話題に絡めてTwitterでつぶやいたところ、それがアルマ望遠鏡の広報担当・平松正顕さんの目にとまり今回のPV出演につながりました。
「聴いて、観てくださる皆様に元気になってもらえるような音楽を、演技をできるようにと心がけています」と話す緒方さん。「最近世の中が息苦しくなってきていて、傷つくことや面倒をきらって未知のことや価値観の違うものに出会うことを避ける傾向があるように思います。でも『人間は宇宙の一部である』というマクロな視点を持つことで想像力が広がり、『自分はちっぽけな存在で、今悩んでいることも全然大したことではない』と思えますよね」と語る言葉には、私も天文学者としてとても共感しました。
今後、宇宙に関する仕事でどんなことに挑戦してみたいか伺ったところ、「私の生解説と生歌つきで、大人向けのギリシア神話を紹介するプラネタリウムとかやってみたいですね」という素晴らしいお話が! 昔プラネタリウムに通っていたおかげで、一般向けの星座の物語ならアドリブで喋れるそうです。ぜひとも実現してほしい…。科学館関係者の皆様、いかがでしょうか? 緒方さんのこれからの活躍がますます楽しみです!
アニメーションPVはアルマ望遠鏡のウェブページで順次公開中。
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