5例目の極超新星が発見される
【2002年3月8日 VSOLJニュース 085・山岡 均(九大・理)氏】
極超新星は、スペクトルに水素やヘリウムが見られず、膨張ガスの運動速度が非常に大きいことが特徴で、通常の超新星よりもさらに重い星の爆発と考えられている稀な現象です。VSOLJニュース(083)で、神奈川県の広瀬さんが発見された超新星2002apが極超新星であったことをお伝えしましたが、それからわずか1か月で、新たな極超新星が発見されました。確かに知られている極超新星(水素がなく高速膨張を示すもの)はこれで5例目です。
この天体を発見されたのは、英国のアマチュアの新星/超新星探索グループの一員で、これまでにも多数の超新星を発見されているMike Armstrongさんです。天体は超新星2002blと命名されています。発見は3月2.901日(世界時、以下同)で、その後5.879日、7.059日に確認されており、いずれの時も明るさは17.0等であったと報告されています。2月14日撮影の画像ではこの位置に天体はなかったということです。新天体の位置は、赤経10時12分17.28秒、赤緯+27度51分52.4秒(2000年分点)で、母銀河UGC 5499の中心核の北9秒角、西5秒角ほどにあたります。UGC 5499は、しし座とこじし座の境界付近にあるやや傾きの大きい棒渦巻銀河(SBb:)で、新天体は銀河の円盤部に重なって見えます。ハワイのKeck望遠鏡で7日にスペクトルが撮影され、この天体がこれまでに知られている極超新星と非常に似通っていることが報告されています。膨張速度は17000 km/sと求められました。
母銀河の後退速度は4753 km/sで、これは以前の極超新星1998eyの母銀河NGC7080(4839 km/s)とほぼ同じです。超新星1998eyの極大の明るさは16.8等ほどでしたが、今回の超新星2002blはほぼそれと同じ明るさでの発見です。今後の明るさやスペクトルの変化がたいへん注目されます。