情報トピックス(2002年10月)

国内のさまざまなメディアで取り上げられた天文ニュースや皆様からお寄せいただいた写真などを紹介しています。記事の詳細については各リンク先を参照してください。

2002/10/30

● 「H2A」4号機、12月14日に打ち上げ(Yomiuri On-Line/社会)

H-IIAロケット4号機が12月14日(土)に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられることが発表された。環境観測技術衛星(ADEOS-II)などが積み込まれる。

宇宙開発事業団: H-IIAロケット4号機の打上げについて

写真投稿:「いて座の新星」

江上勝典さん(福岡県青少年科学館 天文ボランティア)撮影。クリックで拡大。

(新星V4744 Sgrの写真)

(データ)日時:2002年10月29日 18時37分、露出 60秒
撮影地:福岡県八女市
機材等:ペンタックス 75ED + XL40、ニコン クールピクス995(ISO100程度、ズーム側)、ステライメージで画像処理
●撮影者コメント:今回は、天体がとても暗いうえ、時間的に低空で、また薄い雲も発生し、かなりきびしい条件でしたがトライしてみました。 たぶん、これがその“新星らしき天体”と思われます。

アストロアーツニュース: 2002/10/28 - Tabur、いて座に新星らしき天体を発見(VSOLJニュース)

11月4日に起こる、小惑星による恒星食の改良予報

(1049) Gothoによる恒星食。11月4日(月)1時30分、南西諸島で見られる。
恒星は TYC 2922-01521-1(赤経 05h32m25.049s,赤緯 +44°16'43.18"(J2000)、9.4等、カペラの南東約3°16')
5.5等の減光で、継続時間は最長6.8秒

2002/10/23

● 彗星の中心核のカラー画像(日本惑星協会)

NASAの探査機ディープ・スペース1が撮影した、ボレリー彗星の中心核のカラー画像が公開された。表面のでこぼこした地形や、ガスとチリでできた核が広がっているようすが鮮明に写っている。

アストロアーツニュース: 2001/09/27 - ディープ・スペース1号、ボレリ彗星に最接近 (NAOニュース)

● プルート・カイパーベルト・ミッションの推進に拍車/エウロパ・ミッションが復活へ(日本惑星協会)

冥王星などカイパーベルト天体の探査を目的とする「プルート・カイパーベルト・ミッション」と、地球以外の生命体が存在する可能性がもっとも高いと考えられている木星の衛星エウロパの探査計画「エウロパ・オービター・ミッション」の2つの計画に予算が復活する見通しとのこと。

アストロアーツニュース: 2001/12/06 - NASA、冥王星探査の準備へ

● 野口さん、来年3月に宇宙へ(asahi.com : 科学・自然)

宇宙飛行士・野口聡一さんが搭乗するスペースシャトル・アトランティスが来年3月1日に打ち上げられることになった。当初の予定では来年1月だったが、スペースシャトルの不備の問題で延期されていた。

● 銀河:衝突面近くから大量の星が誕生 京大グループが観測(Mainichi INTERACTIVE)

京都大学のグループが独自に開発した「三次元分光器」を使い、銀河同士の衝突面近くから大量の星が誕生しているようすを観測。衝突銀河では銀河中心よりも衝突面に近いところで星が激しく生まれることを詳しくとらえた。

2002/10/22

10月26日に起こる、小惑星による恒星食の改良予報

(1109) Tataによる恒星食。10月26日(土)3時14分、九州、四国地方で見られる。
恒星は TYC 0818-00944-1(赤経 09h06m14.379s,赤緯 +14°29'50.10"(J2000)、9.5等、かに座π1 星の南西 約1°33')
6.6等の減光で、継続時間は最長3.1秒

2002/10/18

● 日本版スペースシャトルの飛行実験成功 クリスマス島(asahi.com : 社会)
● 日本版シャトル:初日の実験成功 自動操縦で離着陸(Mainichi INTERACTIVE 社会)
● 国産の宇宙往還機、10分間の実験機飛行に成功(Yomiuri On-Line/社会)

日本版スペースシャトルの開発に必要な基礎データを蓄積するための離着陸実験が、キリバス共和国のクリスマス島で行なわれた。約10分間の飛行の後、自動着陸にも成功。

宇宙開発事業団: 高速飛行実証フェーズI第1回飛行実験の実施結果について
アストロアーツ: 2002/09/05 - (情報トピックス 2002年9月5日)

10月22日に起こる、小惑星による恒星食の改良予報

(51) Nemausaによる恒星食。10月22日(火)0時56分、関東、中部、近畿地方で見られる。
恒星は TYC 0736-00098-1(赤経 06h24m40.893s,赤緯 +10°40'08.84"(J2000)、10.0等、オリオン座,ふたご座,いっかくじゅう座 の境界付近)
1.9等の減光で、継続時間は最長17.7秒

10月23日に起こる、小惑星による恒星食の改良予報

(1208) Troirusによる恒星食。10月23日(水)2時35分、南西諸島(西日本全域)で見られる。
恒星は TYC 2919-00084-1(赤経 05h40m07.443s,赤緯 +42°52'54.07"(J2000)、10.8等、カペラの南東 約05°11')
5.5等の減光で、継続時間は最長6.9秒

2002/10/17

写真投稿:「昼間の金星」

神奈川県相模原市の高村郁夫さん撮影。12日に撮影された白昼の金星。クリックで拡大。

(金星の写真)

(データ)日時:2002年10月12日 13時31分27秒、露出 1/250秒
機材等:ビクセン 8cmED屈折 + LV10mm、ニコン COOLPIX990、ビクセン GP・PC赤道儀、アンシャープマスク、透明度4/5、シーイング2/5
●撮影者コメント:以前からチャレンジしていましたが、今回やっと撮影することができました。望遠鏡の視野内に輝く金星の姿は、とても繊細で美しい印象を受けました。

● H2A:トラブル原因は業者が部品を誤装着 宇宙開発事業団(Mainichi INTERACTIVE ニュースセレクション)

先月10日にHII-Aロケットで打ち上げられたデータ中継技術衛星「こだま」の小型エンジンが途中で停止したトラブルの原因は、燃料の流れを調整する部品の設計をメーカーが誤ったためと判明した。

宇宙開発事業団: 「こだま(DRTS)」の静止化について

● 露ロケット:打ち上げ直後に爆発 1人死亡、8人けが(Mainichi INTERACTIVE ニュースセレクション)
● 露、無人の実験用人工衛星打ち上げ失敗(Yomiuri On-Line/国際)
● 露衛星打ち上げ失敗で兵士ら9人死傷(Yomiuri On-Line/国際)

ロシア北西部のプレセツク宇宙基地から打ち上げられたロシア製ソユーズU型ロケットが打ち上げ直後に爆発。9人が死傷した。ロケットにはESA(ヨーロッパ宇宙機関)の実験衛星などが積まれていた。

2002/10/16

写真投稿:「太陽黒点」

山梨県甲府市の和光久さん撮影。15日に撮影された太陽黒点。クリックで拡大。

(太陽黒点の写真 1) (太陽黒点の写真 2)

(データ)日時:2002年10月15日 (1枚目)11時38分、露出 1/20秒、(2枚目)13時38分、露出 1/63.2秒
撮影地:長野県原村 八ヶ岳自然文化園駐車場
機材等:オライオン OMC140(D=140mm、f=2000mm、F=14.3)、ビクセン GPD赤道儀、バーダプラネタリウムのアストロソーラーフィルターを使用、レベル補正処理
(1枚目)フジ FinePix S2 Proで拡大撮影(感度設定800、ホワイトバランスはオート、その他の設定はSTD)、プローセル 13mm使用
(2枚目)ニコン E995(COOLPIX 995)でコリメート撮影(感度設定100、ホワイトバランスはオート、各種設定はデフォルトのまま)、PL 26mm、カメラのズームは30mm

2002/10/15

写真投稿:「夕暮れの沈む金星」

沖縄県の田子十兵衛さん撮影。位相の大きな三日月形の金星の写真。クリックで拡大。

(金星の写真 1) (金星の写真 2)

(データ)日時:(1枚目)2002年10月11日 18時41分、露出 1/8秒、(2枚目)2002年10月12日 18時39分、露出 1/250秒
撮影地:沖縄県大宜味村
機材等:セレストロン C8 + LV25mm(合成f=1707mm、F8.4)、カシオ QV3500-EX(最大ズーム時 f=21mm、画質:エコノミー、プログラムAE、マルチ測光、露出補正無し、マニュアルフォーカス)(1枚目はISO 100相当、F2、2枚目はISO 500相当、F8)、フォトショップ5.0.2で画像処理
●撮影者コメント:(1枚目)夕方、久々に晴れたので、金星を狙いました。内合近い、大きな位相の三日月を撮れました。が、シンチレーションが最悪、デジカメも使いこなせないため、シャープには映りませんでした。まあまあ、クレセント・ヴィーナス、の雰囲気を出せました。低空のためなのか、赤みが強く写りました。
(2枚目)今夜(夕)は、前夜(夕)より上等に写りました。加工もレベル補正多少と、ノイズを消しゴムしただけで殆ど生画像です。

● 技術衛星「こだま」静止軌道へ(宇宙開発事業団)

先月10日にHII-Aロケットで打ち上げられたデータ中継技術衛星「こだま」が静止軌道に入った。来年1月から実験運用が開始される。

10月17日に起こる、小惑星による恒星食の改良予報

(229) Adelinda による恒星食。10月17日(木)22時12分、南西諸島で見られる。
恒星は TYC 5820-00143-1(赤経 23h03m33.240s,赤緯 -07°42' 07.39"(J2000)、11.2等、みずがめ座83番星の西 00°24')
2.6等の減光で、継続時間は最長21.1秒

2002/10/11

● 世界初の耐放射線強化半導体部品を開発(宇宙科学研究所)

宇宙科学研究所が、放射線によるエラー発生確率が極めて低い半導体部品の開発に世界で初めて成功。衛星など宇宙放射線にさらされる環境だけでなく、航空機やコンピュータサーバなどIT基盤技術での利用が期待されている。

● 木星の北極に見られる「猫の目」のような冷たい穴(JPL News Release)

ハワイ山頂にある赤外線望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で木星の北極を撮影した画像。周りより温度の低い大気の部分が渦を巻いており、約300日で北極を一周。他の惑星の大気の運動の研究は、地球大気の研究にも応用できる。

(木星の北極の画像)
木星の北極。(左)ハワイ山頂の赤外線望遠鏡で撮影、(右)ハッブル宇宙望遠鏡で撮影。クリックするとJPLのサイトへ(提供:NASA / JPL / HST / University of Hawaii)

● マーズ・グローバル・サーベイヤーが撮影した新たな写真(JPL News Release)

1996年11月に打ち上げられたNASAJPL(ジェット推進研究所)の火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーが撮影した新たな写真が一挙に2万枚近く公開された。ひじょうに高解像度で1.5mの構造を見分けられる。公開中の写真はこれで約11万2000枚となった。

(ニュートン盆地に見られる峡谷の写真)
ニュートン盆地の峡谷。クリックするとJPLのサイトへ(提供:NASA / JPL / MSSS

2002/10/10

● 天王星の新しい衛星?(日本惑星協会)

チリのセロ・トロロ・アメリカ天文台の4m望遠鏡を用いた観測で、天王星に新しい衛星が見つかった。大きさは直径15〜20kmほど。天王星の衛星の数はこれで21個となる。

IAUC 7980: S/2001 U 1
アストロアーツニュース:2002/01/10 - 天王星の衛星一個の確認取り消し (NAOニュース)
アストロアーツニュース:2002/01/07 - 天王星の衛星 1 個が「認定取り消し」に

新製品情報:「ビットラン 冷却CCDカメラ BJ-40」「ビクセン アルティマ双眼鏡など」

ビットランは45万画素冷却CCDカメラ「BJ-40」を11月1日より発売すると発表。モノクロ、カラーとも30万円を切っておりコストパフォーマンスに優れている。

また、ビクセンは10月上旬より新製品の双眼鏡8種類を発売すると発表。「アルティマ Z 9x63」「大型双眼鏡 B 12-30x70(ズーム双眼鏡)」など、価格や用途に応じて最適なものを選べる。

2002/10/08

● 小柴東大名誉教授にノーベル物理学賞 日本人3年連続(asahi.com : 国際)
● ノーベル賞:物理学賞に小柴昌俊・東大名誉教授(Mainichi INTERACTIVE ニュースセレクション)
● ノーベル物理学賞に小柴昌俊・東大名誉教授ら3人(Yomiuri On-Line/社会)

2002年のノーベル物理学賞に、宇宙ニュートリノの検出に貢献した小柴昌俊・東大名誉教授ら3人が選ばれた。小柴博士はカミオカンデの建設計画を主導し、ニュートリノ天文学の観測的基盤を築いた。

● スペースシャトル打ち上げ成功 4カ月ぶり飛行(asahi.com : 社会)
● 米スペースシャトル:アトランティスの打上げに成功(Mainichi INTERACTIVE 国際)
● 米スペースシャトル、補修後初の打ち上げに成功(Yomiuri On-Line/社会)

機体のトラブルで打ち上げが延期されていたスペースシャトル「アトランティス」が、日本時間の8日午前4時46分にフロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられた。11日間の飛行予定で、建設中の国際宇宙ステーションに構造物を取り付けるなどの作業をおこなう。

宇宙開発事業団: スペースシャトル「アトランティス号」(STS-112/国際宇宙ステーション組立ミッション(9A))の打上げについて
アストロアーツニュース:2002/08/05 - スペースシャトル: ひび割れ修理へ 飛行再開は9月28日
アストロアーツニュース:2002/07/15 - スペースシャトルに亀裂 野口さんの初飛行、白紙に/スペースシャトル: ひび割れ調査に2カ月 野口さん搭乗に遅れ
アストロアーツニュース:2002/07/11 - スペースシャトル: 主エンジン系の部品に微小なひび割れ
アストロアーツニュース:2002/06/26 - スペースシャトル: エンジン部品にひび割れ 飛行計画に影響

2002/10/07

● 光害防止:サーチライト投光などの禁止条例を可決 佐賀県議会(Mainichi INTERACTIVE ニュースセレクション)

パチンコ店などの宣伝用サーチライトの投光禁止などを盛り込んだ「環境の保全と創造に関する条例」を佐賀県議会が可決。来年4月から施行される。きれいな星空を守るのが狙い。

● スーパーカミオカンデ、修復工事終了 12月にも観測再開(asahi.com : 科学・自然 : サイエンスニュース)

昨年11月12日にセンサーの半分近くが事故で破損したニュートリノ観測施設、スーパーカミオカンデの修復作業が終了。センサーの数は減ったままだが、12月から観測を再開する。全面復旧は06年度が目標。

アストロアーツニュース:2001/12/21 - スーパーカミオカンデ、来年 10 月に一部再開へ
アストロアーツニュース:2001/11/14 - スーパーカミオカンデの光センサーが損傷、使用不能に

2002/10/03

● 「ビッグバン」直後の5兆度再現に成功(asahi.com : 科学・自然)

日米の研究グループによる加速器を用いた実験で、宇宙誕生の瞬間「ビッグバン」の直後の宇宙の温度に相当する5兆度を再現したと発表。これまでの記録である1兆5000億度をはるかに上回り、実験室で達成した最高温度となった。

2002/10/02

● アマチュアのロケット、打ち上げ失敗(CNN.com)

アマチュア初となるロケットの打ち上げを目指しアメリカ・ネバダ州の砂漠から打ち上げられた「The Civilian Space eXploration Team」のロケット「Primera」だが、発射からわずか数秒で壊れてしまった。モーターの電気系トラブルが原因と見られている。

アストロアーツニュース:2002/06/21 - アマチュアによるロケット打ち上げ―成功すれば世界初

写真投稿:「いて座の2つの新星(その後)」

江上勝典さん(福岡県青少年科学館 天文ボランティア)撮影。クリックで拡大。

(新星 V4742 Sgrの写真) (新星 V4743 Sgrの写真)

(データ)日時:2002年10月1日、露出 60秒
撮影地:福岡県八女市
機材等:ペンタックス 75ED + XL40、ニコン クールピクス995(ISO 100程度、ズーム側)、フォトショップとステライメージで画像処理
●撮影者コメント:9月17日の写真(1枚目)がチリで発見された写真。9月23日の写真(2枚目)が長谷田さんが発見した新星。少しは暗くなったものの、まだまだ撮影できる明るさを保っていました。長谷田さんの新星が赤くなりました。

アストロアーツニュース:2002/09/24 - 長谷田さん、いて座に肉眼等級の新星を発見(NAOニュース)
アストロアーツニュース:2002/09/19 - Liller の天体、新星と確認される(VSOLJニュース)