ちりの円盤を持つ近傍の若い恒星を発見、惑星が存在する可能性も
【2004年3月18日 UC Berkelery News】
カリフォルニア大学バークレー校の研究チームが、われわれから一番近く、そしてもっとも若い、ちりの円盤を持つ恒星を発見した。ここに、生まれたばかりの惑星も存在する可能性があるということだ。
ちりの円盤が発見された暗く赤い星、けんびきょう座AUは、33光年の距離にある。とても近くにあるため、ハッブル宇宙望遠鏡や地上の大型望遠鏡でもその姿を充分シャープに捉えることができ、系外彗星や小惑星によって作られたと思われるちりが反射する恒星からの光を直接観測できるのだ。この彗星や小惑星こそ、いずれ惑星を形成する天体と考えられている。今後の観測で、星を取り巻くちりの円盤が本当に惑星の材料を提供できるかどうかが明らかにされることになるだろう。
けんびきょう座AUは太陽の半分程度の質量で、1200万歳とひじょうに若い恒星だ。また、この星を取り巻く円盤の端が210天文単位にまで伸びていることもわかった。この距離は、太陽から海王星の距離の7倍も大きい距離だ。地球から近いグリーゼ876(16光年)やエリダヌス座ε(10光年)は、恒星の動きから間接的に惑星の存在が示唆されているが、けんびきょう座AUのような円盤は見られない。けんびきょう座AUは、20年前にがか座βに初めてちりの円盤が直接発見されて以来、ちりの円盤が直接発見された星としてはもっとも近いものとなる。
詳しい観測によって、太陽の2.5倍の質量を持つがか座βのような大質量星と、太陽の半分の質量しかないけんびきょう座AUのような低質量星との進化のメカニズムの違いを探ることができるだろう。また、けんびきょう座AUから17天文単位付近より内側ではちりが比較的少なくなっているようすも捉えられている。ちりが少ないのは惑星によってちりが掃き集められたためと考えられることから、惑星が存在する可能性も高いとみられている。