リニア計画チーム、今まででもっとも地球に接近した小惑星を発見
【2004年3月19日 Near Earth Object Program News】3月20日更新
(3月20日更新分)
高尾明さんより画像をお送りいただいたので紹介しよう。
- 撮影者:
- 高尾 明
- 撮影日時:
- (1枚目)2004年3月19日 1時4分34秒
- (2枚目)2004年3月19日 2時15分27秒
- (3枚目)2004年3月19日 2時31分57秒
- 時刻は日本時、露出は各10秒
- 撮影地:
- 福岡県北九州市
- 撮影機材等:
- シュミットカセグレン望遠鏡(D=20cm)、SBIG ST-8、フィルタなし
- その他:
- 各画像中に小惑星の位置(赤経赤緯)あり(星図)
NASAのリニア(Lincoln Near-Earth Asteroid Research; LINEAR)計画のチームによって、今まででもっとも地球に接近した小惑星が発見された。
地球に接近した小惑星2004 FHの直径は約30メートルで、3月18日の22時8分(世界時、日本時間では19日朝7時8分)に、地球からおよそ4万3千キロメートル(月までの距離の約1/9)の距離まで最接近した。この距離は、これまでに見つかった小惑星の中では、もっとも地球に接近したものとなる。
2004 FHは地球接近小惑星(Near-Earth Asteroid; NEA)と呼ばれるタイプの天体だ。通常このような天体は、衝突の危険性を潜在的にもっている小惑星を指すが、2004 FHの場合は地球に衝突する危険性は一切なかった。2004 FH程度の大きさの天体は、平均するとほぼ2年に1回の割合で同様の距離まで地球に近づき通り過ぎているが、大きさがあまりにも小さいためほとんど発見されることはない。しかし、今回リニア計画のチームによって忍耐強い観測が進められたことで、2004 FHの接近について情報がもたらされたのだ。
小惑星2004 FHの最接近ポイントは南大西洋上だったため、ヨーロッパやアジア、そのほか南半球のほとんどの地点から、望遠鏡を使うなどしてその姿を見ることができたはずだ。専門家にとっては、思いもかけない小規模地球接近小惑星のデータ獲得の機会となったことだろう。
リニア計画は、数キロメートル程度の大きな地球接近小惑星の発見を目的として活動している計画で、アメリカ・ニューメキシコ州にある専用望遠鏡を用いて観測を行っている。同時に、今回の2004 FHのような、より小さな天体の検出も行っている。また、彗星も数多く発見しており、「リニア彗星」と呼ばれている。
なお、リリース元では、2004 FHが天球上を移動するようすを捉えた動画が見られる。