ケンタウルス座Aに捉えられた、幾何学模様のイリュージョン

【2004年6月11日 Spitzer Press Release

電波銀河として有名な銀河ケンタウルス座A(NGC 5128)に、平行四辺形の幾何学模様が捉えられた。これは渦巻き銀河が楕円銀河に落ち込む際にできたと思われるもので、このような形をした銀河の残骸が見られたのは初めてのことである。

(ケンタウルス座Aの画像)

ケンタウルス座A(NGC 5128)。中心に平行四辺形の銀河の残骸が見られる。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/J. Keene (SSC/Caltech))

ケンタウルス座A(NGC 5128)は、われわれから1100万光年離れたところにある楕円銀河だ。その中心には、巨大ブラックホールの存在が示唆されている。約2億年前にこの銀河が小規模な渦巻き銀河を吸収した結果、新しい星の形成が引き起こされたと考えられている。

この銀河には以前から、不規則な形の長く伸びたちりが捉えられていた。今回、NASAのスピッツァー宇宙赤外線望遠鏡のもつ高感度の赤外線の目のおかげで、このような美しい幾何学模様をわれわれが初めて見ることとなったのだ。

この幾何学模様は、楕円銀河に吸収された平たい渦巻き銀河がねじれ変形するというモデルによって説明できる。大きな楕円銀河の成長メカニズムは、このような合体や吸収によって進み、同時に中心に潜むブラックホールへもエネルギーが与えられていると考えられている。