地球の大量の水は、どこからきたのか?

【2004年6月30日 ESA News

地球にある大量の水はどこからもたらされたのだろうか?岩石に閉じ込められていた水か、それとも大きな氷の塊である彗星の衝突によって供給されたのか。この疑問に対する何らかの手がかりを得るべく、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の彗星探査機ロゼッタは、現在彗星を目指して飛行中だ。

(ロゼッタの衛星と着陸船のイメージ図)

ロゼッタの衛星と着陸船のイメージ(提供:ESA)

今年3月に打ち上げられた彗星探査機ロゼッタは、2014年にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P/Churyumov-Gerasimenko)に接近、着陸して観測を行う予定だ。ロゼッタに搭載されたミニチュア実験室「トレミー」で放射性同位体を分析し、彗星の水が地球のものと同じであるかどうかを調べる。

最近行われた地上からのリニア彗星の観測では、地球と彗星の放射性同位体はおそらく同じであることが示されている。しかし、もしロゼッタの分析で異なる結果が得られた場合、水の起源の候補は他に考えなくてはならなくなる。この場合には、小惑星や火山活動などが候補となりそうだ。

さらに、トレミーによる分析の結果として、彗星に含まれる同位体が太陽系に見られるものと大きく異なることが判明した場合には、彗星は太陽系外からやってきたということになり、新たな興味深い課題が専門家に与えられることになる。数十億年前に起きた大量の彗星の衝突が地球に水をもたらしたのか、または、彗星の新しい側面が発見されるのか、ロゼッタによる観測に期待がかかるところだ。