X線観測衛星チャンドラが初めて捉えた、五重星団から放射されるX線

【2004年8月10日 Chandra Photo Album

NASAのチャンドラX線観測衛星が初めて捉えた、ミステリアスな五重星団のX線画像が公開された。この星団が位置するのはわれわれの天の川銀河の中心付近で、恒星風の衝突によってガスが摂氏5000万度という高温に熱せられていると考えられている。

(五重星団のX線画像)

五重星団のX線画像。クリックで拡大(提供:NASA/CXC/Northwestern U./C.Law & F.Yusef-Zadeh)

観測されたのは、いて座の方向、銀河系の中心付近に存在しているひじょうに若い五重星団から発せられるX線だ。この星団はちりによって隠されていたため、1990年に赤外線望遠鏡の目が向けられるまで見つかっていなかった。赤外線で輝く5つの星の姿が捉えられたことから、五重星団(Quintuplet Cluster)と名づけられている。

この領域には、数百個もの星が存在しており、そのうちいくつかの大質量星は、高速の恒星風によって表面から急速にガスを失っている。また、光が集中して明るい点に見える部分は星ではなく、若い高温星から吹く強力な風同士が衝突し、摂氏5000万度もの高温にガスが熱せられている部分であると考えられている。今後、高温ガスの発する電波を検出することで、大質量星の恒星風と激しく熱せられるガスについての詳しい情報がもたらされるということだ。

なお、リリース元では五重星団の動画も公開されている。