すばる望遠鏡が土星に新衛星9個を発見
【2006年7月7日 国立天文台 アストロ・トピックス(220)】
国際天文学連合回報(IAUC)No. 8727によると、ハワイ大学のデービッド・ジューイット(David Jewitt)らの研究チームは、マウナケア山頂にある“すばる望遠鏡”を用いて、土星に新しい衛星9個を発見しました。彼らの研究チームは、昨年5月にも、すばる望遠鏡、ケック望遠鏡、ジェミニ北望遠鏡などの望遠鏡群を用いて、土星に新しい衛星12個を発見していますが、今回の発見はそれに次ぐ快挙です。
今回確認された衛星は、これまで仮符号が付いていたS/2004 S19の1個とS/2006 S1-S/2006 S8までの8個の計9個です。スミソニアン研究所のブライアン・マースデン(B.G.Marsden)は、2004年12月〜2006年4月までの観測から得られたデータの位置測定や解析を行いました。その結果、今回発見された新衛星は、土星の自転と反対向きに周期862日〜1300日で軌道上を運行している逆行衛星であることが判明しました。
最近の新衛星発見ラッシュには目を見張るものがあります。それはこれまで発見されなかった小さく暗い衛星を発見するためには、大きな集光力と高分解能を有する“すばる望遠鏡”のような大型望遠鏡が大きく寄与しています。
土星は太陽系第6惑星で、木星についで2番目に大きく、美しいリングを持っていることで知られています。しかし、平均密度は意外に小さく、水に入れることができれば浮かんでしまうほどです。
今回の新衛星発見により、土星の衛星の総数は56個、不確かなものも含めれば59個となります。このうち衛星に名前がついているのは34個あります。衛星数では木星の衛星63個についで多い数となりました。
土星の衛星
土星の衛星は姿がさまざまです。巨大クレーターと無数のクレーターでおおわれたミマス、クレーター領域としわのある領域をもつエンケラドス、水と氷と岩石からできたハイペリオン、ツートン模様になっているイアペタスなど、表情豊かな衛星がそろっています。(「最新デジタル宇宙大百科」より)