どうなる、太陽系の遠い未来

【2007年6月1日 CfA Press Release

アンドロメダ座大銀河(M31)とわれわれの天の川銀河は30億年後に衝突すると考えられている。衝突でもたらされる太陽系の未来は、どんなものなのだろうか。その疑問に答えるシミュレーションの結果が発表された。


(20億年後の地球の想像図)

20億年後の地球の想像図。クリックで拡大(提供:David A. Aguilar(CfA))

天の川銀河は30億年後に隣の大銀河であるM31と衝突し、やがて1個の楕円銀河に姿を変えると考えられている。その際に太陽系がたどる運命について、アメリカの天体物理学者T.J.Cox氏とAvi Lorb氏(ハーバード・スミソニアン天体物理センター)がコンピューターによるシミュレーションを行った。その結果、M31と天の川銀河の衝突がわれわれの太陽が寿命を終える前に起きること、さらに衝突後の太陽系は、合体した銀河の端へ飛ばされてしまうことが示された。Cox氏は、「今、われわれのいる場所が銀河系の郊外だとすれば、将来はそこからかなり遠い田舎に飛ばされるようなものです」と話している。

シミュレーションによると、今から約20億年後に、M31と天の川銀河が最初の接近を迎える。その頃、地球から見る夜空には、細長い天の川銀河の代わりに、アンドロメダ座大銀河から投げ出された星がごちゃごちゃと見えているはずだ。そして、太陽はまだ水素を燃焼して輝いているものの、そこから放たれる光は相当強くなっている。その強力な熱は、地球上の海という海を干上がらせてしまうと考えられている。2つの銀河は合体の前に互いの周りを2、3度回る。それにつれて、両銀河の星が混ざり合ってゆくのだ。

2つの銀河が完全に1つになるのは、今から約50億年後。2つの銀河に代わり、フットボールのような楕円形をした新しい銀河が現れる。太陽は赤色巨星となっており、一生の終わりを迎える。太陽系はというと、新しくできた銀河の中心から、10万光年ほどの距離に位置している。現在の太陽系は天の川銀河の中心から約2万5千光年の距離にあるので、50億年後は今の4倍も中心から離れることになる。そこから見た夜空には、銀河の中央にひしめく数十億個の星が輝いているはずだという。

なお、衝突のシミュレーション動画は、リリース元で公開されている。