土星の衛星タイタンで、地殻の下に海が存在か
【2008年4月11日 NASA JPL News Releases】
土星の衛星タイタンのレーダー観測によるデータを用いた研究で、表面の地形が予測の位置より約30kmもずれていることが明らかとなった。その理由についてNASAのジェット推進研究所の研究者は、タイタンの地殻の下に海があるためだと発表した。
土星の衛星タイタンでは、NASAの土星探査機カッシーニによる探査で、これまでに丘や湖、峡谷や山など、変化に富んだ地形が発見されている。
レーダーを使った探査では、タイタンを覆う厚い大気を見通すことができる。カッシーニの科学チームでは、今までに集められたレーダー観測によるデータのうち、初期のものを利用し、特徴ある地形50個の位置を特定して目印とした。さらに、最近のフライバイ(接近通過)の際に得られたレーダー観測のデータを利用して、目印とした50個の地形を探した。
すると、目印の地形が予測されていた場所から約30kmもずれていることが明らかとなった。チームでは、その理由として、凍った地殻の下に海があるために地殻と中心の核とが切り離されており、地殻の移動を容易にしているためだとしている。
NASAのジェット推進研究所のBryan Stiles氏は、「わたしたちは、氷と豊富な有機物に覆われたタイタンの地下約100kmのところに、水とアンモニアからなる海が存在していると考えています」と話している。
タイタン
土星の衛星の中で一番個性的なのは、なんといっても最大の衛星タイタンです。太陽系の衛星の中で2番目に大きく、惑星の水星をも上回っています。衛星としては珍しく、1.6気圧もある濃い大気に包まれていて、可視光では表面の様子を見ることができません。(「太陽系ビジュアルブック・改訂版」土星の衛星より一部抜粋