秋の食変光星を観測しよう

【2008年10月15日 アストロアーツ】

星どうしが隠しあうことで周期的に暗くなる「食変光星」は数多く存在するが、中でも有名な2つが秋の夜空で見ごろをむかえようとしている。ペルセウス座のアルゴルは明るく、肉眼観測でも貴重なデータを得られる変光星だ。カシオペヤ座RZは光度曲線が複雑に変化するため、積極的な観測が求められている。

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文：滋賀県ダイニックアストロパーク天究館 高橋進さん

変光星には脈動型・爆発型・激変星型などさまざまな種類がありますが、食変光星は連星系で星どうしが隠しあうことにより明るさが変わります。夜空にはたくさんの食変光星がありますが、とりわけ秋は明るく観測しやすい星が多く、秋は食変光星の季節とも言われています。

秋の変光星の中でも注目したいのはペルセウス座のアルゴル（β Per）とカシオペヤ座RZ（RZ Cas）です。

アルゴルはふだんはおおよそ2.1等ですが、2日と22時間おきにおよそ3.4等くらいにまで減光します。これはスペクトル型B型の主系列星のまわりをK型の巨星が回っており、およそ7時間ほど伴星が主星を隠すことによって減光します。そこで予想される極小時刻の前後およそ2時間ずつほどを観測すれば極小時刻が求められます。右の光度曲線は2008年1月27日に広沢憲治さんが観測したときのものです。10分ごとの目測からこのときの極小時刻がおよそ20時20分ごろであることがわかります。望遠鏡も双眼鏡も使わない肉眼での観測ですが、こうして得られる極小時刻は天文学的にも大変に貴重なデータになります。

アルゴル連星系ではB型星とK型星のまわりをさらにF型星が回っており、この引力などにより公転周期も変化します。極小時刻の観測はこうしたアルゴル連星系の様子を知るうえでとても役に立つわけです。

もうひとつのカシオペヤ座RZ（RZ Cas）は平常光度6.2等ですが、28時間周期で食が起こり、極小時にはおよそ7.7等にまで暗くなります。そこで予想される極小時刻の前後およそ1時間ずつほどを5分おきに観測すれば極小時刻が求められます。右の光度曲線は2005年10月23日の金井清高さんの観測によるものですが、5分ごとの観測でこの星の明るさがどんどん変わっていく様子がよくわかります。

カシオペヤ座RZはA型の主星のまわりをK型の伴星が1.19日周期で回っている連星系ですが、この連星系では伴星から主星に質量移動があり、これにより周期変化が起こります。また主星はたて座デルタ型（δ Sct型）と呼ばれる脈動変光星のようで、その変光により光度曲線が微妙に変化するとも言われています。今後もこの星の周期がどのように変わっていくのか、多くの皆さんによる積極的な観測が求められています。

日本変光星研究会の永井和男さんの計算による10月から12月までのアルゴルとカシオペヤ座RZの極小予報時刻を表で示しますので、ぜひこれに合わせて観測をお願いします。観測用の星図（変光星図）や観測方法などについては2002年に行われた食変光星キャンペーンのページをぜひご利用ください。観測されたデータはぜひ日本変光星研究会の食変光星を担当されている永井和男さん（pxs10547@nifty.ne.jp）までお送りください。永井さんのほうで極小時刻等を計算し観測者にお知らせしていただいています。

＜関連リンク＞

• 日本変光星研究会： http://www4.airnet.ne.jp/mira/nhk/index.html
• VSOLJ（日本変光星観測者連盟）： http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/vsnet/VSOLJ/vsolj.html
• ダイニックアストロパーク天究館： http://www.dynic.co.jp/astro/index_i.html

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