HARPS、新たに32個の系外惑星を発見

【2009年10月22日 ESO

ヨーロッパ南天天文台のラ・シーヤ天文台3.6m望遠鏡に備え付けられた分光器「HARPS」によって、新たに32個の系外惑星が発見された。系外惑星の発見総数は400個に達したが、そのうちHARPSの発見は20%近くを占める。


(Gliese 667C bの想像図。背後に見えるのは三重連星のうちの2つの恒星)

Gliese 667C bの想像図。背後に見えるのは三重連星のうちの2つの恒星。クリックで拡大(提供: ESO/L. Calçada)

HARPSは、2003年にヨーロッパ南天天文台(ESO)のラ・シーヤ天文台3.6m望遠鏡に備え付けられた分光器で、2004年から系外惑星探査を行ってきた。

そのHARPSが、新たに32個の系外惑星を発見した。これでHARPSが発見した系外惑星の総数は約75個となる。他の方法や他の観測機器による発見を含め、系外惑星の発見総数が現在400個ほどであることを考えると、圧倒的に高い能力を持っていることがわかる。

HARPSが観測した約75個の惑星は、30個の異なる恒星のまわりを回っている。

また、今回の発見によって、検出に高い精度を必要とする低質量の系外惑星の数も3割ほど増えた。質量が地球の20倍以下の惑星28個のうち、24個はHARPSによる発見だ。

そのうちの1つ、さそり座の方向に見つかった「Gliese 667C b」は、質量が地球の約6倍で、中心星からの距離は地球―太陽間の20分の1ほどだ。中心星は2つの伴星を持ち、これら3つの恒星はいずれも低質量星であることがわかっている。

その他、最大5つの惑星が存在する惑星系も発見しており、低質量の惑星候補のほとんどが、単独ではなく、他の惑星といっしょに恒星のまわりを回っていることも明らかになっている。

また惑星は、若い星を取り巻く原始惑星系円盤の中に水素やヘリウム以外の元素が豊富であるほど形成され易く、逆にガスだけの円盤はあまり形成に適していないと考えられている。しかしHARPSは、水素とヘリウム以外の元素が少ない恒星のまわりにも、3つの系外惑星候補や数個の木星質量の惑星を発見している。これらの成果は、惑星形成に関するモデルに重要な情報を提供している。

ステラナビゲータ Ver.8で系外惑星の位置を表示

ステラナビゲータ Ver.8では、惑星の存在が確認された約350個の恒星を、追加天体として「コンテンツ・ライブラリ」で公開しています。ステラナビゲータ Ver.8をご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードしてください。