すばる望遠鏡が双子の原始惑星系円盤を直接撮像

【2009年11月25日 すばる望遠鏡

すばる望遠鏡が、若い連星を取り巻く原始惑星系円盤をとらえることに成功した。これによって、連星のまわりにどんな惑星が誕生するのかわかるかもしれないと期待されている。


(すばる望遠鏡がとらえたSR24を取り巻く原始惑星系円盤の赤外線画像(左)とシミュレーションの結果(右))

すばる望遠鏡がとらえたSR24を取り巻く原始惑星系円盤の赤外線画像(左)とシミュレーションの結果(右)。クリックで拡大(提供:国立天文台)

(シミュレーションで再現した、若い連星と原始惑星系円盤の画像)

シミュレーションで再現した、若い連星と原始惑星系円盤。クリックで拡大(提供:法政大学)

(SR24の画像(右:南アフリカ1.4m赤外線望遠鏡、左:すばる望遠鏡))

連星系SR24(右:南アフリカ1.4m赤外線望遠鏡、左:すばる望遠鏡)。クリックで拡大(提供:名古屋大学・国立天文台)

宇宙にあるほとんどの恒星は、2つ以上の星が互いのまわりを回る連星として生まれる。恒星と惑星が一般的にどのように生まれるかを知るためには、連星が誕生する現場を観測しなければならない。

しかし、単独星のまわりで惑星がどのように生まれるかという研究は発展してきたが、連星のまわりについては、これまで謎に包まれてきた。

総合研究大学院大学や国立天文台などの研究チームは、へびつかい座の方向約520光年の距離にある推定500万歳の若い連星系SR24をすばる望遠鏡で観測した。

その結果、連星のそれぞれの星を取り囲む原始惑星系円盤、円盤どうしをつなぐブリッジ構造、さらに円盤から伸びる渦状腕が検出された。若い恒星のまわりに、このような円盤や渦状腕が検出されたのは世界初である。

観測を受けて、千葉大学の花輪知幸教授と法政大学の松本倫明准教授がシミュレーションで検証したところ、観測されたものとよく似た構造が再現された。惑星の材料となる物質は、この渦状腕を通して外部から供給されていて、かつブリッジ構造を通して円盤から隣の円盤へ流れているようだ。

若い連星では、外部から惑星を作る物質の供給を受けるだけでなく、隣の惑星系と物質を互いにやりとりしながら成長していくことが直接観測から実証された。

今回の観測をきっかけに、連星のまわりにどんな惑星が生まれるのかがわかるようになると期待されている。それによって、われわれの太陽や地球が果たして特別な存在なのかという疑問の答えも得られるかもしれない。