極大を迎えた変光星はくちょう座χ

【2009年12月21日 アストロアーツ】

約400日周期で明るくなる変光星はくちょう座χが今年も極大を迎え、肉眼で見られる明るさとなってきた。クリスマスの頃、西の空に見えるはくちょう座の首の中ほどにあるので、ぜひ見てみよう。また、極大を過ぎたミラも明るい状態が続いているので、まだ極大期の姿を楽しむことができる。


文:滋賀県ダイニックアストロパーク天究館 高橋進さん

(はくちょう座χ周辺の星図)

はくちょう座χ周辺の星図。ステラナビゲータVer.8で作成。クリックで拡大

(はくちょう座χの光度曲線)

はくちょう座χの光度曲線(VSOLJメーリングリストデータより)。クリックで拡大(提供:高橋進氏(ダイニックアストロパーク天究館)、VSOLJメーリングリストデータより作図)

(ミラの光度曲線)

ミラの光度曲線。クリックで拡大(同上)

ミラ型変光星のはくちょう座χが極大を迎え、条件のよい空では肉眼でも見られるようになってきています。

はくちょう座χ(χ Cyg)はおよそ408日ほどの周期で4等から14等ほどの間を変光するミラ型変光星です。ただし極大時の光度はその時々でかなり異なり、明るいときは3等台になりますが、暗い場合は5等程度のこともあります。

前回(2008年10月下旬ごろ)はおよそ4.0等のかなり明るい極大でしたが、今回は(この原稿を書いている12月15日現在はまだ完全な極大にはなっていないので明確なことは言えませんが)およそ5等台半ばのどちらかというと暗めの極大の見込みです。はくちょう座はクリスマスの頃には西の空で十字の形になり「北十字」とも呼ばれますが、この機会にぜひ変光星はくちょう座χの姿もご覧いただきたいと思います。

またクリスマスにミラを見ようキャンペーンでおなじみのミラですが、ミラキャンペーン事務局によると11月10日頃におよそ3.4等の極大になったもようです。ただ極大を過ぎたとは言えまだ明るい状態が続いていますので、この機会にぜひ極大期のミラをお楽しみください。