もっと長かった!マゼラニック・ストリーム
【2010年1月8日 NRAO】
われわれのお隣の銀河、大マゼラン雲と小マゼラン雲からは、長いガスの帯が伸びている。最新の観測で、このガスの帯がこれまで考えられていた以上に長いことが明らかとなった。これにより、形成年代ももっと古い可能性が示唆され、新たな形成プロセスが提起された。
大マゼラン雲と小マゼラン雲は、それぞれ地球から約15万、約20万光年の距離に位置する、天の川銀河のお隣といえる銀河だ。
30年ほど前、大小マゼラン雲から細長く伸びるガスの帯が発見され、「マゼラニック・ストリーム」と名づけられた。ストリームは途中で途切れていたのだが、その後ろにも筋の断片が見られたため、実は一本の長いガスの流れなのでは、と言われていた。
米・バージニア大学のDavid Nidever氏らの研究チームは、取り残されたガスがストリームの一部であるかどうかを確かめるため、アメリカ科学基金(NSF)のグリーンバンク電波望遠鏡(GBT)を使い観測を行った。
観測結果と過去のデータを合わせることで、Nidever氏らは、マゼラニック・ストリームがこれまで考えられていたより40パーセント以上も長いことを明らかにした。
さらに、形成が始まった年代も、これまでの考えより古い25億年前と計算しなおした。この結果、ガスの流れが引き起こされた原因についても、新たな考え方が提起されることとなった。以前は、大小マゼラン雲が天の川銀河へ接近したためではないかと考えられていたが、Nidever氏は「(25億年前という)新しい推定年代は、2つのマゼラン雲どうしがすれ違って、大規模な星形成が引き起こされたであろう頃に当たります。大量に生まれた星からの恒星風や超新星爆発でガスが吹き飛ばされ、天の川銀河に向かって流れ始めた可能性があります」と話している。