カッシーニがとらえた、土星の衛星のクローズアップ
【2010年8月19日 JPL】
NASAの土星探査機カッシーニは、8月13日に土星の衛星エンケラドスから2,500kmの距離にまで接近、通過した。13日から14日にかけてエンケラドスの南極にある噴出口の撮影を行ったほか、衛星テチスとディオネも撮影し、その迫力ある数々の画像が公開された。
先週、土星探査機カッシーニは、衛星エンケラドスに接近、通過し、また衛星テチスとディオネにも近づき、撮影を行った。公開された画像(未処理)は、まるでバロック絵画の先駆者と言われるカラヴァッジョ(1571-1610、明暗法を用いた絵画の発展に貢献したイタリア人画家、本名:ミケランジェロ・メリーシ・ダ・カラヴァッジョ)の作品を思わせる、ドラマチックな光と影の世界を見せてくれた。
1枚目の画像は、衛星テチスの表面にある「ペネロペ」と呼ばれるクレーターをとらえたものである。直径は約150kmで、テチスのクレーターの中では2番目に大きい。この画像は、同クレーターを撮影したベストショットのうちの1枚といえる。
2枚目は、土星の明るい大気がつくる弧の上に浮かぶ衛星エンケラドスの姿である。その下の画像は、「Damascus Sculcus」と呼ばれる、エンケラドスの表面にあるひび割れの1つを見下ろしたショットだ。
エンケラドスの南極には、このような割れ目が複数存在しており、そこから噴出する水蒸気や有機物の粒子が宇宙空間へと放出されている。Damascus Sculcusは、カッシーニに搭載されている赤外線分光計器「CIRS」による熱放射の観測が済んでおり、現在そのデータの分析が進められている。
このほかの画像は「Cassini's latest at the CICLOPS website(英文のみ)」で見ることができる。