太陽くらいの星と大質量星の形成過程は同じ?
【2010年9月15日 SAO】
大質量星は超新星爆発を起こして宇宙空間に新たな星の材料をばらまくなど、宇宙の進化において重要な役割を果たす。大質量星の形成過程はよくわかっていないが、最新の研究成果によってその一部が示された。
大質量星(ここでは太陽の約8倍以上の質量を持つ星を指す)は、宇宙の進化においてもっとも重要な役割を果たす天体と言える。大質量星は内部で起きる核融合反応によって元素を合成し、数億年後に超新星として爆発する。超新星爆発によってさまざまな物質が宇宙空間にばらまかれ新たな星をつくる材料となったり、衝撃波によって星形成が促されるなど周囲の環境へ影響が及んだりする。爆発のあとには残骸として中性子星、時にはブラックホールが現れる。
重要な役割を担っているとはいえ、実は標準的な星形成理論が大質量星にあてはまるのかどうかは明確ではない。大質量星は太陽と同じくらいの質量の星に比べて数がはるかに少なく、星すべてに占める割合は0.1パーセント以下しかないため、果たして大質量星は太陽のような星と同じように原始星の段階で雲に覆われているのか、ガスやちりから成る円盤(星周円盤)に取り囲まれていてそこから物質が降り積もることで成長するのかどうか、よくわかっていないのだ。
おまけに大質量星の成長はひじょうに早く、(太陽のような星が数百万年であるのに比べ)数十万年以下で一人前となる。そのため、誕生に関わるプロセスを調べようとしても、誕生時のようすがわかるような時期にある大質量星はそう多くない。
ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究者Eric Keto氏とQizhou Zhang氏が、大質量星の形成を想定したコンピュータ・シミュレーションと若い大質量星を取り巻く分子ガスの観測データとを合わせて調べたところ、太陽質量の10倍の星の場合には、少なくとも原始星を取り巻く雲と星周円盤に関する限りでは、太陽程度の質量の星と同じ形成過程であることが示された。ただし、10倍以上の場合に同じ結果になるとは限らないようである。