WISEが赤外線で見たスターバースト銀河

【2010年10月21日 JPL

NASAの赤外線天文衛星WISEが複数の赤外線の波長で、ちょうこくしつ座の方向約1050万光年の距離にあるスターバースト銀河NGC 253を観測した。


(WISEによるNGC 253の赤外線画像)

WISEによるNGC 253の赤外線画像。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA)

ちょうこくしつ座銀河群に属するNGC 253は活動銀河の1つで、莫大なエネルギーを放射している。そのエネルギーは、銀河の核で起きている爆発的な星形成(スターバースト)によるものである。

NGC 253は天の川銀河からもっとも近いスターバースト銀河だ。スターバースト現象だけでは核に見られる活動のすべてを説明することはできず、銀河中心に潜む超巨大ブラックホールが関係している可能性がもっとも高いと考えられている。

青の擬似カラーの画像はWISEが3.4と4.6μmの赤外線をとらえたもので、銀河の核部分だけではなく腕を含めた銀河全体に存在する、あらゆる年齢の星の存在を見せてくれている。

また、緑色の擬似カラーの画像は、銀河の核と腕に若い星が存在していることを示すものだ。星形成の残骸である小さなちりの粒子が、高温の若い星が放つ紫外線を吸収し、その熱を赤外線の波長で放射している。この画像は、12μmの赤外線をとらえることのできる検出器によるものである。

一番下の赤色の擬似カラーの画像は、もっとも長い波長(22μm)の赤外線をとらえたもので、銀河の活発な活動を示している。生まれたばかりの星がまゆのように自らを包んでいるちりの雲をあたためていて、ちりからその熱が赤外線として放射されている。また、銀河の中心核が爆発的な輝きを放っていることもわかる。

なお、WISEは今年9月の終わりに、12μmと22μmの赤外線をとらえる2つの検出器の冷却剤を使い果たした。そのため現在は残る2つの検出器を使って、主に彗星や小惑星を対象としたサーベイを行っている。