3Dで見る火星タルシス地方の火山

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【2011年4月4日 ヨーロッパ宇宙機関

火星探査機「マーズ・エクスプレス」がとらえた、2つの火山の画像が公開された。山腹に刻まれた溝と扇状地、クレーターなど興味深い地形を3Dで見ることができる。


(「Ceraunius Tholus」(左)と「Uranius Tholus」の画像)

「マーズ・エクスプレス」の高解像度ステレオカメラで撮影した2つの火山、「Ceraunius Tholus」(左)と「Uranius Tholus」付近を標高で色分け(低地:紫〜高地:灰色)した画像。画像上側が西方向。クリックで拡大(提供:ESA/DLR/FU Berlin (G. Neukum))

(北側から見た「Uranius Tholus」の画像)

北側(1枚目の画像右側)から接近して見た「Uranius Tholus」の3D画像。クリックで拡大(提供:ESA/DLR/FU Berlin (G. Neukum))

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の火星探査機「マーズ・エクスプレス」がとらえた、2つ並んだ火山の画像が公開された。3つの大きな火山が集まった「タルシス三山」の北東にある、やや小規模な地形だ。

1枚目の画像には2つの火山、「Ceraunius Tholus」(左)と「Uranius Tholus」が並んで写っている(「tholus」はラテン語で「円錐ドーム」の意)。Ceraunius Tholusは直径約130km、高さ5.5kmで、頂上には直径25kmのカルデラがある。カルデラの底は平らで、大気が濃かった原始火星の時代には湖があったかもしれない。あるいは、地表直下の氷が火山活動で溶けてできた液体の水が存在した可能性もある。

山腹は約8度という急勾配で、山が隆起する際に堆積したやわらかい灰の層に深く切れ込んだ谷がいくつも見られる。中でも右上方向に走る溝は幅3.5km、深さ300mという大規模なもので、山のふもとの楕円形クレーター「Rahe」まで続き、さらにその先の扇状地形につながっている。この扇状地の成り立ちはまだはっきりわかっていないが、溶岩溝あるいは溶岩チューブからの物質が山頂の雪溶けとともに押し流されたものだとも言われている。35km×18kmのRaheクレーターは隕石が斜めに衝突してできたもので、溝や扇状地形とは直接の関連はないとみられる。

右側の「Uranius Tholus」(直径62km、高さ4.5km)の西側(画像上側)にも小さなクレーターがある。これも火山活動休止後にできたもので、噴出物が堆積してやや平らに埋まっている。

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