太陽系の果ては磁気バブルで覆われている?

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【2011年6月13日 NASA

太陽系の果てを旅する探査機「ボイジャー」の送ってくるデータとシミュレーションの結果から、太陽系の果ての構造はこれまで考えられていたモデルよりももっと複雑で、磁気の「泡」のようなものが取り巻いているらしいことがわかった。


(シミュレーション結果による泡のイメージ図)

シミュレーション結果による泡のイメージ。バーで示されているように、泡の直径は地球〜太陽の距離とほぼ等しい。クリックで拡大(提供:NASA)

(太陽系の果てに関する新旧のイメージ図)

太陽系の果てに関する新旧のイメージ図。左側がこれまで言われていた「泡なし」のイメージ。右側が今回提唱された「泡あり」のイメージ。クリックで拡大(提供:NASA)

探査機「ボイジャー1号」「ボイジャー2号」は打ち上げから実に34年もほぼ正常に航行を続けており、これまでの探査機の中では圧倒的に遠いところまで到達している。

ボイジャーは現在も太陽風の速度などを計測し、その結果を地球に送信してきている。計測データから、太陽系の最遠部は磁気的な「泡」のようなものが取り巻いているらしいということがわかった。

コンピューターシミュレーションによれば、この泡は直径が地球〜太陽の距離と同じぐらいあり、ボイジャー1号の速度でおよそ100日程度あれば1つの泡を通過できる。おそらく1号は2007年ごろ、2号は2008年ごろに泡の領域に突入しているのではないかと考えられている。

この泡はどうしてできているのか? どうやら、太陽の磁場と太陽が自転していることに関係がありそうだ。

太陽は地球と同じように南北でとても巨大な磁石となっており、この磁力が太陽系を覆っていると考えられている。また太陽は自転しているため、磁力線は南北でそれぞれねじれて遠くまで広がっている。このような、ねじれて折り重なった磁場(画像2枚目)があると、磁力線がつなぎ変わる「リコネクション」という現象が発生し、それによって泡ができているのではないかと考えられている。

この泡は、一番最初に太陽系外のもの(宇宙線や銀河の磁場、星間分子など)と相互作用する領域であるため、太陽系外のものが太陽系にどれだけ影響を与えているかを測る上で非常に重要である。しかし、この泡がどのような役割を果たしているか、今のところはよくわかっていない。例えば、この泡は穴だらけで宇宙線は簡単にすり抜けてしまうのか、それともその穴の中に閉じ込められてしまうのか、不明なままである。

ボイジャーはこの泡について詳細なデータを送ってきてはいるが、観測される磁場は非常に弱いために、解析には時間がかかりそうだ。


ボイジャー1号2号の位置と航路

天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」では、ボイジャー1号、2号やパイオニア10号、「はやぶさ」など、主な探査機15機の設定日時における位置や航路を表示することができます。