2012年は天文当たり年! 5・21日食観察の危険性よびかけも
【2012年1月5日 2012年金環日食日本委員会/国立天文台】
2012年は日本で見られる珍しい天体ショーが多く、いつも以上に注目を集めそうだ。5月21日の金環日食に向けて、太陽観察の危険性と安全に見る方法を広く知らせるための取り組みも行われている。
2012年は天文イベントの当たり年だ。金環日食や金星の太陽面通過などの珍しい現象や、木星と金星の接近、好条件の流星群など、天文ファンにとって楽しみな1年となる。
3月 | 木星と金星が夕方の西の空で接近 |
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3月 6日 | 地球と火星が最接近(小接近) |
5月21日 | 日本全国で金環日食や部分日食 |
6月 4日 | 宵のころに部分月食 |
6月 6日 | 金星の太陽面通過。次回はなんと105年後 |
7月15日 | 昼間に木星が月に隠される木星食 |
8月14日 | 明け方、金星が月に隠される金星食 |
10月下旬 | 火星とアンタレスが夕方の西の空で接近 |
11月14日 | オーストラリア北部などで皆既日食 |
12月14日 | 月明かりのない中、ふたご座流星群がピーク |
その中でも一番のビッグイベントといえそうなのが5月21日朝の金環日食だ。九州南部、四国、近畿中南部、東海、関東地方など広範囲でリング状の太陽を見ることができるほか、日本全国で部分日食が見られる。日本国内で金環日食が見られるのは1987年9月23日に沖縄で観察されて以来25年ぶりで、次回は2030年6月1日に北海道で見られる。
楽しみであると同時に、太陽を観察するには細心の注意が必要となる。太陽の大部分が隠される金環日食でも、見えている一部分から放たれる光線は強烈だ。日食グラスの使用など適切な観察方法でなければ欠けている様子は確認できず、直視すると目を傷めるおそれがあり非常に危険である。天文ファン以外も含め、2009年の皆既日食以上に多くの人々が関心を持つと予想されており、天文関連の各組織が太陽観察の危険性と安全な観察方法を広めるための呼びかけを行っている。
日本天文協議会のワーキンググループの一つとして発足した2012年金環日食日本委員会は、適切な観察方法や、太陽光による目の障害などについて8ページにまとめた資料「日食観察時の危険を回避するための予備知識」を作成、ウェブサイトで公開している。
また同協議会と眼科関連2団体は昨年12月15日、登校時間と重なる日食を児童・生徒が安全に観察するための周知や環境整備に向け、中川正春文部科学大臣宛の要望書を提出した(上記委員会ウェブサイトに掲載)。
個々の教育関係者に向けたものとしては、安全な観察情報の入手先ウェブサイトの紹介や金環日食の概要を2ページにまとめたリーフレット用PDFが国立天文台の金環日食情報ページで入手できる。これらのサイトやアストロアーツの特設サイトなどで日食の楽しみ方や安全情報をチェックして、この一大イベントを存分に楽しもう。また、11月にはオーストラリア北部のケアンズなどで皆既日食も見られる。
金環日食が終わると、6月4日に部分月食、6月6日には金星の太陽面通過がある。太陽面通過とは太陽の前を金星が横切って見える現象のことで、2004年6月8日以来およそ8年ぶりに見られる。この次は105年後なので見逃せない。金星の見かけの大きさは太陽のおよそ30分の1しかないため、暗い点として観察される。太陽を見るのと同じことなので、日食の観察と同様、安全な方法で楽しむようにしよう。
また12月中旬には、近年活発な活動を見せているふたご座流星群のピークがやってくる。今年は月明かりのない非常に良い条件で観察できる。12月14日の未明ごろが一番の見ごろとなり、ひょっとすると1時間に100個以上もの流星を見ることができるかもしれない。
このほかにも、金星食や木星食、惑星同士の接近や三日月と金星の共演など、美しく興味深い現象がたくさん起こる。少々気が早いが、観察や撮影の場所を考えたり日食グラスなど道具を準備したりして、数々の天文イベントを心待ちにしよう。