ベテルギウスの爆発に備えるMAXI
【2012年2月2日 MAXIサイエンスニュース】
この100万年以内にはほぼ確実に爆発すると言われている、オリオン座のベテルギウス。もしベテルギウスが爆発したら、国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟に設置されているX線監視装置「MAXI」は、何を観測するのだろうか。「MAXI」の「もしもの備え」を紹介しよう。
冬の代表的な星座のひとつ、オリオン座。三ツ星をかこんだ4つの星のうち北東の角にあたる赤い1等星のベテルギウスは、太陽の約20倍の質量を持つ赤色超巨星だ。その表面は不安定であるといわれており、100万年以内には超新星爆発を起こすと考えられている。
超新星爆発を起こすと、可視光線では満月ほどの明るさになると考えられる。また、岐阜県の神岡宇宙素粒子研究施設「スーパーカミオカンデ」では、爆発で放出されたニュートリノがいち早く検出されると期待されている。では、超新星爆発はX線ではどのように見えるのだろうか。
赤色巨星が超新星爆発を起こす際、爆発の衝撃波が星の大気を突き破るときにX線が数分間出るといわれており、NASAのガンマ線観測衛星「スウィフト」もこのX線を観測している(画像1枚目)。同じ天の川銀河にあるベテルギウスは距離が近いため、このX線強度は太陽の最大級フレアで放射されたものよりも強くなるかもしない。超新星爆発の衝撃波によって発生したX線の観測は1例しかなく、近くで起こる超新星から出てくるX線をとらえることは、その仕組みや構造を解明する上でも非常に重要だ。
国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟に設置されているX線監視装置「MAXI」は、ベテルギウスをX線監視リストに追加し、そのX線を日々観測している。現時点ではベテルギウスからのX線は観測されていない(画像2枚目)が、もしもの時に備えて、MAXIはベテルギウスを見張り続けている。