西村さんがへびつかい座に新星を発見
【2012年3月28日 VSOLJニュース(284)】
静岡県の西村さんが26日早朝(日本時間)、へびつかい座に12等の新星を発見した。
VSOLJニュースより(284)
3月になると明け方の南の空にはもう、夏の星座であるいて座やさそり座、へびつかい座といった星座が見えるようになります。これらの星座は私たちの銀河系の中心方向でもあります。へびつかい座の南、銀河中心方向から5度ほど離れたところに、12等の明るさの新星が発見されました。
新星を発見したのは静岡県掛川市の西村栄男(にしむらひでお)さんで、3月25.789日(世界時。日本時間26日早朝)に、焦点距離200mmのレンズとデジタルカメラを用いて撮影した画像から、12.1等の新天体を発見しました。西村さんが翌26.796日に撮影した画像にもこの天体が写っていました。遊佐さんの観測によると、この天体の位置は以下のとおりです。
赤経 17時26分07.02秒 赤緯 -25度51分42.5 秒(2000.0年分点) へびつかい座の新星の周辺星図
高尾明さん、清田誠一郎さん、遊佐徹さんもこの天体を確認しました。群馬県の小嶋正さんが20.784日に撮影した画像(13等までが限界等級)では写っておらず、発見前日の24.785日の画像に12.2等で写っていました。新星はこの4日の間に増光を始めたと考えられます。
3月27.74日には、京都産業大学・神山天文台の口径1.3m荒木望遠鏡で新井彰さんと磯貝瑞希さんがスペクトル(光の成分)の観測を行いました。HαやHβ、1階電離した鉄、中性酸素の輝線が見られたことから、この天体が古典新星であることが判明しました。またHαや、鉄、酸素のスペクトル線の形状が、膨張するガスによる青方偏移した吸収線を伴う「はくちょう座P星型」の輝線であることも報告されました。
岡山理科大学の今村さんによる分光観測でもHα輝線が見られたことが報告されています。分光観測の結果から、爆発によるガスの膨張速度が遅い新星と考えられ、今後の明るさやスペクトルの変化が注目されます。
へびつかい座の新星の位置
この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。
また、新しいデータや番組を入手できる「コンテンツ・ライブラリ」では、新星をわかりやすく×印で表示するための「新星(マークで表示)」ファイルも公開しています。あわせてお楽しみください。