初めてとらえられた系外惑星同士の食
【2012年11月16日 東京大学大学院】
東京大学大学院の研究チームにより、2つの惑星が同時に中心星の手前を通過し、かつ惑星同士が重なる食を起こすという非常に珍しい現象が発見された。太陽系と同様にこれらの惑星の公転面が中心星の自転軸とほぼ直交していることもわかっており、系外惑星の形成進化を探るうえで大きなヒントとなりそうだ。
はくちょう座の方向にあるKOI-94星には4つの惑星があり、それらすべてが地球から見て手前を通過するのが観測されている。
これらの惑星が、太陽と同様に(画像1枚目)ほぼ同じ平面上を公転している可能性が高いと見た平野照幸さん(東京大学大学院理学系研究科・博士課程大学院生)らは、すばる望遠鏡を用いて、恒星の自転軸と内側から3番目の惑星の公転方向の関連を調べ(画像2枚目)、自転軸と公転軸がほぼ平行(=公転面と直交する)であることをつきとめた。
また系外惑星探査衛星「ケプラー」のデータから、2010年1月14日〜15日に3番目の惑星と4番目の惑星が同時に中心星の手前を通過し、かつこの2つが重なる食が起こっていたことも発見した(画像3枚目)。さらに詳しい解析で、この2つの惑星はほぼ同じ公転面上を同じ向きに回っていることがわかった。
これらの観測結果から、この複数惑星系は太陽系と同様に、中心星の自転軸と惑星系の公転軸がほぼそろっていることが初めて直接的に確認された例となった。
これまで発見された系外惑星の中で大きな割合を占める木星程度の大型ガス惑星は、まず中心星から遠く離れた場所で誕生し、その後徐々に現在いるような中心星のすぐそばに移動してきたと考えられている。もしこうした移動が起これば、周囲の惑星の軌道が大きく変動する可能性がある。
今回のような観測的事実が発見されたことは、こうした複数の惑星系がたどるシナリオを編み出すうえでの非常に大きなヒントとなる。