太陽圏脱出へ、荷電粒子の“シルクロード”を進むボイジャー

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【2012年12月4日 NASA

1977年に打ち上げられた米探査機「ボイジャー1号」が、太陽圏の内と外からの荷電粒子が入りまじる境界領域に入っていることが判明した。恒星間空間に向かう最終段階とみられ、数か月から数年後には太陽圏を脱出すると関係者らは予測している。


太陽圏と恒星間空間との境界

太陽圏と恒星間空間との境界の様子。ボイジャーは、境界部に生じる太陽風の流れの中に位置している。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech。以下同)

荷電粒子が入りまじる領域

太陽からの荷電粒子(ピンク)と恒星間空間からの宇宙線の高エネルギー荷電粒子(青)が入りまじる領域を航行する「ボイジャー」。クリックでアニメーション動画へ。0:19から、荷電粒子の幹線領域の様子を表している。

太陽圏の果てを航行中のNASAの探査機「ボイジャー1号」が送信してきたデータから、同探査機が太陽圏の中と外の磁力線をつなぐ幹線領域(原文:magnetic highway)にいることがわかった。7月28日に初めてこの領域に入ってから出たり入ったりを繰り返していたが、8月25日以降はずっとこの領域を航行中だ。

この領域では太陽からの荷電粒子と恒星間空間からの高エネルギーの荷電粒子が入りまじっている。ただし、磁力線の向きは変わっていないため、まだ太陽圏の内部であるというのが「ボイジャー」チームの見解のようだ。恒星間空間に抜け出たときに、この磁力線の向きが変わると予測されている。

「この領域が、恒星間空間への旅の最終段階でしょう。その時が来るのは数か月、または数年後といったところでしょうか。このような領域が存在するというのは予測していませんでしたが、ボイジャーの旅はこれまでも予想外のことだらけだったのです」(ミッション当初から携わるEdward Stoneさん)。


ボイジャー1号2号の位置と航路

天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」では、ボイジャー1号、2号やパイオニア10号、「はやぶさ」など、主な探査機15機の設定日時における位置や航路を表示することができます。