南北半球の協力観測で、巨星の複数惑星系を発見

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【2012年12月26日 岡山天体物理観測所

くじら座の巨星に2つの惑星が発見された。日本からは1年のうち半分しか観測できない位置にある星だが、日豪の協力観測によって軌道が詳細に決定できた。


HD 4732の位置

HD 4732はくじら座方向にある5.9等星。クリックで拡大(提供:発表資料より。以下同)

HD 4732惑星系の軌道

HD 4732の惑星系の軌道(赤い実線)。真ん中の+印が恒星の位置。破線は太陽系における地球、火星、木星(内側から)の軌道。クリックで拡大

東京工業大、ニューサウスウェールズ大、国立天文台、広島大、兵庫県立大からなる研究グループが系外惑星を見つけたのは、くじら座の方向約180光年かなたにある巨星「HD 4732」だ。太陽の約1.7倍の質量と約5倍の半径を持つ星である。

国立天文台岡山天体物理観測所で2004年からこの恒星を観測したところ、その周囲を約1年周期で回る天体があることがわかり、さらに外側を回る2つめの天体が存在する可能性も見えてきていた。

この星は日本では1年の半分しか観測できない位置にあるため、豪ニューサウスウェールズ大学の協力によりオーストラリアでの観測も併せて行い、1つめの惑星の軌道を精密に決定することができた。それにより2つめの惑星の存在も確定的となり、約2700日の公転周期を持つことがわかった。

惑星の重力が生み出す恒星の動きのぶれから、惑星はそれぞれ少なくとも木星の約2.4倍の質量を持つことがわかった。さらに惑星の軌道の安定性から、木星の約28倍未満であることも求められ(惑星が重すぎると重力の相互作用で軌道が不安定になる)、この2つの天体は重くてもせいぜい褐色矮星程度、つまり恒星ではないことが示された。

複数惑星系には、惑星系の形成や進化の研究にとって重要な情報が含まれている。特に巨星で複数惑星系が見つかった例は未だ少なく、今後の観測の進展が期待されている。研究グループは今回成功した日豪協力を引き続き推進し、複数惑星系を含むより多くの惑星系の発見を目指している。