重い恒星の巨大な惑星をすばる望遠鏡が直接撮像
【2012年11月20日 すばる望遠鏡】
すばる望遠鏡による観測で、アンドロメダ座の恒星を回る巨大惑星が直接とらえられた。これにより、太陽の2倍以上の質量を持つ恒星でも惑星が作られることが示された。
国立天文台を中心とする国際研究チームが推進する系外惑星・円盤探査プロジェクト「SEEDS」の一環として行われた直接撮像観測から、170光年かなたのアンドロメダ座κ(カッパ)星を主星とする巨大なガス惑星が発見された。主星の質量は太陽の2.5倍で、今までに惑星が撮像された恒星の中では最も重いものだ。発見された惑星は木星の13倍もの質量で、太陽系の海王星の軌道より少し遠い軌道を回っている。
この惑星「アンドロメダ座κ星b」は、2012年の1月と6月に行われた2回の観測で、主星の周囲を回っていることが確認された。近赤外線の4つの波長帯での明るさを比較して得られた惑星の色は、これまで撮像された10個程度の巨大ガス惑星とよく似ていることも判明した。
主星のアンドロメダ座κ星は「はと座運動星団」に属し、その年齢は3000万歳と推定される。若い恒星の周囲に惑星があるとしたらその年齢は当然若く、形成時の熱により赤外線で明るく光る。したがって、若い恒星は惑星の直接撮像を狙う魅力的なターゲットとなる。
とはいえ惑星は主星に比べて圧倒的に暗いため、系外惑星の直接撮像、特に太陽系の惑星と似た軌道にある惑星の撮影に成功した例はきわめて限られる。SEEDSプロジェクトの高コントラスト観測で主星の光をできるだけ取り除くことにより、周囲にあるかすかな天体の光を見分けることができた。
重い主星と巨大ガス惑星からなるこの惑星系は、一見太陽系と大きく異なる。しかし、太陽系の起源と進化を最近の観測と理論に基づいて拡張したモデルでは、大きな主星は大きな惑星を持ち得ると考えられている。ただし、そのようなモデルの拡張には限界がある。もし、主星が重くなり過ぎれば、その強烈な放射により原始惑星系円盤内での惑星形成が阻害される可能性があるからだ。
今回のアンドロメダ座κ星における巨大ガス惑星の発見は、少なくとも太陽の2.5倍の重さの恒星では、原始惑星系円盤から惑星が生まれることが可能だということを示している。
プロジェクトチームは、さらに詳しく巨大ガス惑星の軌道や大気成分を調べるため、アンドロメダ座κ星bをより広い波長範囲で観測し続けている。また、この惑星の形成や軌道進化に影響を与えたかもしれない第2の惑星が存在するかどうかについても、引き続き調査を進めている。
「これらの追跡研究は、重い恒星周囲での惑星形成やスーパージュピターの生い立ちを解き明かす上で有用な手がかりをもたらしてくれるでしょう」 (米チャールストン大学のジョセフ・カーソンさん)。