迫り来る矮新星爆発を「色」で予測可能に

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【2013年7月5日 国立天文台

岡山天体物理観測所などの研究グループが矮新星「おおぐま座SU」の観測から、爆発数日前に起こる色の変化を見出した。爆発前の兆候として、予測の手がかりになるとみられる。


矮新星の想像図

矮新星の想像図(提供:国立天文台、以下同)

日ごとに平均した色を2色図上にプロット

矮新星の状況と、その時の色をプロットしたもの。明るさはほぼ同条件でも、爆発3日前〜前日(●)はそれ以外の時(○)と比べて、図の下方(青緑+赤の2波長で見た場合に赤が強い方)に分布していることが示されている。クリックで拡大し詳細表示

変光星の一種である矮新星は、白色矮星(恒星の燃えかす)の周囲にあるガスなどの円盤に伴星(パートナーの恒星)から物質が流れ込み、円盤が不安定になることで急激に明るくなる現象と考えられている。明るさだけでなく色も変化するが、その原因はよくわかっていない。

国立天文台 岡山天体物理観測所などの研究グループは、代表的な矮新星である「おおぐま座SU」を、2011年12月から2012年3月まで、赤、青緑、近赤外線の3つの波長帯で観測した。

その結果、赤と青緑の2つの波長帯で見ると、爆発の数日前に赤が優勢になってくることがわかった。この2つの光を見れば、爆発が近いことを予測できるというわけだ。

このメカニズムについては、

  • 爆発直前に降着円盤内縁がガスで満たされ、白色矮星を隠すことで青緑の光のみが暗くなる
  • 爆発の直前に6000K(ケルビン)程度の成分が降着円盤内で卓越する

などいくつかの解釈が可能だが、詳しくは今後の観測結果が待たれる。

研究では他にも、静穏期の等級にも明るい時期と暗い時期の2種類があることや、明るい静穏期は期間が1週間前後と短く、青緑+赤の2波長帯で赤が勝っているということも明らかになっている。

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