赤外線でとらえたアイソン彗星のガス放出
【2013年7月25日 NASA】
赤外線天文衛星「スピッツァー」が、アイソン彗星(C/2012 S1)が二酸化炭素のガスを放出するようすをとらえた。水分の放出ももうすぐ始まると予測されており、今後の変化が注目される。
NASAの天文衛星「スピッツァー」が、太陽に接近中のアイソン彗星(C/2012 S1)を赤外線で撮影した画像が公開された。6月13日時点で太陽からおよそ5億km離れており火星軌道と木星軌道の間にあったアイソン彗星が、二酸化炭素と思われるガスをしゅわしゅわと吹き出しているようすや、30万kmにわたって伸びるダスト(塵)の尾がとらえらえている。
NASAのアイソン観測プロジェクトを率いるCarey Lisseさんによれば、「ガスを1日におよそ1000t、ダストをおよそ5万4000t放出している」と推算されるという。アイソン彗星の本体となる彗星核は幅4.8km弱とみられる。
彗星が太陽に近づくにつれ、水、アンモニア、メタン、二酸化炭素の氷がそれぞれの昇華温度に達したタイミングでガスとして放出されるが、土星軌道から木星軌道の内側付近にかけての範囲では、二酸化炭素が彗星の主な放出成分となる。
「彗星の炭素の大部分はドライアイスとして含まれているようです。7月末から8月くらいには、彗星の氷でもっとも多い成分である水の放出も始まりそうですよ」(Lisseさん)。