ケンタウルス族小天体、多くは彗星と同質
【2013年7月29日 NASA】
木星と海王星の軌道の間を公転する小天体「ケンタウルス族」の観測から、その多くが小惑星よりも彗星に近い性質・起源であることが示された。
太陽系小天体には大きく分けて小惑星と彗星の2種類がある。大まかに言えば、火星軌道と木星軌道にはさまれた小惑星ベルトを中心とする、太陽系の内側のエリアに分布する岩石天体が小惑星、海王星以遠から太陽に近づく軌道を持ち、氷の揮発が見られるものが彗星と呼ばれる。
さらに、木星軌道と海王星軌道の間を公転する「ケンタウルス族」と呼ばれる、どっちつかずのような天体も存在する。これまでいくつかのケンタウルス族天体で、放出されたダストが天体を球状に取り囲むコマが見られるなど彗星の性質が観測されているが、ケンタウルス族の多数派を示すものかどうかは明らかになっていなかった。
NASAのJames Bauerさんらは赤外線天文衛星「WISE」の観測から、ケンタウルス族や散乱円盤天体(海王星の重力で外側に弾かれた小天体)52個の太陽光反射率を測定した(注)。これらの天体には人間の目で見た色がブルーグレイのものと赤っぽいものがあるが、ブルーグレイのもののほとんどが暗い(反射率が低い)という結果が出た。
「彗星の氷の表面はすすのようなコーティングがされていますから、小惑星よりも暗いんです」(惑星科学研究所のTommy Gravさん)。
彗星と同様の性質ということは、もとは太陽系外縁にまで達していた軌道がじょじょに変化して、内側にやってきたことを示している。彗星としての活動がかつてはあった、あるいは今後あるかもしれない。軌道が不安定なこれらの天体は、やがて巨大惑星の重力で現在の軌道からさらに外れる運命にある。
今回の研究では、ケンタウルス族のおよそ3分の2が彗星と同じ太陽系外縁に起源を持つことが示されたが、残りの3分の1についてはまだ明らかになっておらず、今後の調査が待たれる。
注:「赤外線による反射率測定」 赤外線では測定した小天体の大きさが正確にわかるので、見かけの明るさと比べると反射率もわかる。例えば、小さいサイズの割に明るいということは、反射率が高いことを示す。