ショートガンマ線バースト後の残光「キロノヴァ」を初観測
【2013年8月6日 HubbleSite】
40億光年彼方で起こった高エネルギー現象「ガンマ線バースト」の後に、理論上予測されていた近赤外線の残光「キロノヴァ」が観測された。短いガンマ線バーストが高密度天体同士の合体で起こることを裏付ける結果だ。
英レスター大学のNial Tanvirさんらが、宇宙の彼方からやってくる高エネルギー放射「ガンマ線バースト」の残光から、その起源として最有力とされてきた説を決定的に裏付ける証拠を見つけた。
ガンマ線バーストは宇宙のあらゆる方向に見られる現象で、2秒以上続く「ロングバースト」とそれより短い「ショートバースト」がある。ロングバーストは超大質量星が一生の最期を迎える「極超新星爆発」によるものという証拠がほぼ揃っているが、ショートバーストの起源は謎のままだ。中性子星かブラックホールの衝突で起こると考えられているものの、じゅうぶんな証拠はそろっていなかった。
6月3日、ガンマ線監視衛星「スウィフト」がわずか10分の1秒光った40億光年彼方のショートバーストを検出し、Tanvirさんらがハッブル宇宙望遠鏡をすぐさま向けたところ、新星(ノヴァ)と超新星(スーパーノヴァ)の中間の明るさの「キロノヴァ」と呼ばれる近赤外線の残光が観測された。さらに、およそ1週間後にこの残光がひじょうに強くなるのが観測された。これは、ショートバーストの起源が高密度天体の合体とした場合に見られると予測されていた現象だった。