M82に11等級の明るい超新星 観測実習中に発見

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【2014年1月23日 CBET 3792/ロンドン大学天文台1月27日更新

おおぐま座の銀河M82に11等級の明るい超新星2014Jが出現した。ロンドン大学天文台での観測実習中に偶然見つかったもので、今後どれだけ増光するか注目される。


銀河M82と超新星2014J

ロンドン大学天文台で撮影された銀河M82。十字の箇所が超新星2014J。クリックで超新星出現前との比較表示(提供:UCL/University of London Observatory/Steve Fossey/Ben Cooke/Guy Pollack/Matthew Wilde/Thomas Wright)

板垣公一さんによる発見前画像

板垣公一さんが撮影していた発見前の超新星。1月14日〜20日の光度変化がわかる。クリックで拡大(撮影:板垣公一さん)

銀河M82の位置

超新星2014Jが出現した銀河M82の位置。クリックで拡大(「ステラナビゲータ」でシミュレーション)

1月21.805日(世界時)、英・ロンドン大学天文台のSteve J. Fosseyさんがおおぐま座方向の銀河M82に超新星2014Jを10.5等(R等級)で発見した。

当日学生を指導していたSteve J. Fosseyさんは、天気が悪くなってきていたので予定していた実習の代わりにCCDカメラの使い方の簡単なデモをしようと思いたった。学生らが対象に選んだ銀河M82に望遠鏡を向けたところ、これまでなかったはずの明るい光が見えた。雲が近づく中、大慌てで異なるカラーフィルターや別の天体望遠鏡での観測を行い、見間違いや機器のノイズではないことを確認したという。

超新星の位置は以下のとおり。

  赤経  09時55分42.14秒
  赤緯 +69度40分26.0 秒(2000.0年分点)

美星天文台(岡山県)や広島大学東広島天文台(広島県)などでの分光観測から、極大1〜2週間前のIa型超新星とみられる。

超新星出現の情報を受けて山形県の板垣公一さんが画像をチェックしたところ、15日に撮影した画像にすでに写っていたことがわかった。板垣さん撮影の画像(右画像2枚目)を見ると、超新星が増光していく様子がよくわかる。皆さんが最近撮影したM82の画像をチェックしてみると、この超新星が写っているかもしれない。

多くはずっと暗い等級で発見、観測される超新星が11等級で見つかるのは異例のことだ。今後さらに明るくなるとみられており、2011年9月に10等級に達した超新星2011fe以来の明るい超新星となる可能性もある。約1200万光年という距離の近さも記録的で、1993年におおぐま座の銀河M81(今回のM82のすぐそばにある銀河)で発見された超新星1993J以来となる。

眼視確認や写真撮影に挑戦して、どこまで明るくなるか見届けてみてはいかがだろうか。

1月27日追記

千葉県の清田誠一郎さんらが超新星2014Jの観測キャンペーンウェブページを開設した。掲載されている測定方法を参考に超新星の明るさを測り、報告してみよう。報告に基づく変化グラフも随時更新されている。

過去の明るい超新星と極大等級(VSOLJニュース280より)

符号極大等級
SN 2011fe9.9等
SN 1993J10.5等
SN 1987A3.0等
SN 1972E8.5等
SN 1954A9.5等
SN 1937C8.7等

超新星2014Jの位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。「ツール」メニュー→「データ更新」で新天体データを取得し、「SN 2014J (M82)」を検索・表示してください。

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