青い星が物語る、黄色超巨星爆発の決定的証拠
【2014年9月18日 カブリIPMU】
ハッブル宇宙望遠鏡の観測によって、3年前に超新星が出現した場所に明るい青色の星が発見された。超新星の元となったのは、重力崩壊型の超新星爆発を起こさないと従来考えられてきた黄色超巨星だったという説を裏付ける決定的な証拠となる。
超新星2011dh(SN 2011dh)は2011年6月に、「子持ち銀河」の愛称で知られる銀河M51に現れた。重力崩壊型に分類されるこのタイプの超新星爆発は、赤色超巨星か青色のウォルフ・ライエ星の一生の最期に起こると考えられてきたが、爆発前の画像でその場所にあったのは、黄色超巨星だったため、論議を巻き起こしていた。
カブリIPMUのメリーナ・バーステンさんらは、黄色超巨星でも連星系を構成している場合なら、外層を伴星にはぎ取られて黄色超巨星となったところで超新星爆発を起こす可能性があるという理論を提唱していた。
これを裏付ける材料の1つとしてまず2013年に、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の観測から黄色超巨星が爆発後に消えていることが確認された(参照 「超新星爆発を起こして姿を消した黄色超巨星」 )。
もう1つの材料は、超新星の残光が収まった後に黄色超巨星の伴星だった青い星を見つけることだった。超新星の出現から3年後となる今年8月、同じくカブリIPMUのガストン・フォラテリさんらがHSTの広視野カメラ(WFC3)を使って紫外線観測を行ったところ、超新星の跡に予測通りの青い高温の星が観測された。ヨーロッパのチームによる可視光観測での確認ももうすぐだ。
「予測してきた星がその場所に見つかったとき、たいへん興奮しました。この超新星の進化の過程を満足いく形で説明できたと思っています」(フォラテリさん)。
理論予測と観測とを密接に組み合わせた今回の研究は、重力崩壊型超新星や、連星系の進化の理解に大いに寄与すると期待される。