銀河団衝突でも、ダークマター同士はすり抜ける

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銀河団同士が衝突してもダークマター同士はあまりぶつからずそのまま進むということが、多数の衝突銀河団の観測からわかった。ダークマターの正体を知る手がかりとなりそうだ。

【2015年3月30日 HubbleSite

スイス・ローザンヌ連邦工科大学のDavid Harveyさんらは、ハッブル宇宙望遠鏡とX線天文衛星「チャンドラ」の観測をもとに、銀河団同士の衝突現場72箇所における銀河、高温の銀河間ガス、ダークマター(正体不明の重力源)の分布を調べた。その結果、ダークマターは銀河と離れずに分布していることがわかった。

これまでの研究で、銀河団同士が衝突するとガスはぶつかって動きを妨げあう一方で、銀河そのものはあまり影響を受けずにそのまま進むことがわかっている。今回の結果から判断すると、銀河同様にダークマター同士もあまりぶつからないということになる。

銀河団同士の衝突現場
今回の研究対象となった銀河団同士の衝突現場。ぶつかって動きを妨げあう高温ガス(ピンク)とダークマター(青)が分離しているようすから、ダークマターはあまり衝突の影響を受けていないことがわかった。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, STScI, and CXC)

ダークマター同士の相互作用が弱いという研究結果は「弾丸銀河団」の観測からも得られていたが(参照:「ふるいにかけられたダークマター」)、多数の銀河の観測から同じ結果が得られたことでその確実性が増した。

さらに今回の測定結果は、ダークマター同士の相互作用が従来考えられていたよりももっと弱いということを示唆している。さまざまな説があるダークマターの正体をつきとめる、有力な手がかりとして期待される。

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