初期宇宙に明るい銀河「CR7」発見、第一世代星の証拠も検出

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ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTによる観測で、初期宇宙に存在する銀河としては史上最も明るい銀河が見つかった。有名なサッカー選手の愛称が付けられたこの銀河には、第一世代星が潜んでいる証拠も得られている。

【2015年6月19日 ヨーロッパ南天天文台

ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTやすばる望遠鏡、ハッブル宇宙望遠鏡などを用いて広範囲にわたるサーベイ観測を行った研究グループが、ビッグバンから約8億年後という初期宇宙に複数の若い銀河を発見した。そのうちの一つ、「CR7」という名前が付けられた銀河は、この距離にある天体としては最も明るく、これまでの記録保持天体「ヒミコ」に比べると紫外線で3倍も明るい。

CR7の想像図
CR7の想像図(提供:ESO/M. Kornmesser)

CR7には電離したヘリウムからの強い放射が検出され、その他の重い元素の兆候は得られなかった。この結果は、初期宇宙に存在する銀河内に第一世代星の集団が存在していることを示しており、銀河の発見と同様に重要な成果だ。

第一世代星、あるいは種族IIIの星とは、ビッグバン直後の宇宙に最初から存在した元素である水素とヘリウムとわずかなリチウムから生まれたと理論的に考えられている天体だ。太陽の数百倍から数千倍の質量を持つ高温の星で、誕生からわずか200万年ほどで超新星爆発を起こしたとみられている。これほど短命では観測が難しく、現在まで決定的な存在証拠は得られていなかった。

現在の宇宙に存在する酸素や炭素、鉄といった重い元素は、恒星の内部で合成されて宇宙空間に広がっていく。一番最初にこうした元素を生み出したのが、水素やヘリウムしか存在しない宇宙で元素合成を行った第一世代星だ。今回の成果は、惑星や生命の原点を確認したものといえるかもしれない。

ちなみに「CR7」とは「COSMOS Redshift 7」という天体名の省略形で、ろくぶんぎ座方向のCOSMOSという観測領域に見つかった赤方偏移7の天体という意味だが、有名なポルトガルのサッカー選手クリスティアーノ・ロナウドの愛称にインスパイアされたものでもある。