カラフルな蝶の羽 ツインジェット星雲の輝き

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ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた「ツインジェット星雲」の画像が公開された。蝶を思わせる左右に広がったカラフルな構造の内部には、中心星から吹き出した時速100万km以上ものジェットが存在している。

【2015年8月31日 ESA Hubble

「ツインジェット星雲」の愛称を持つPN M2-9は、へびつかい座の方向4200光年彼方にある惑星状星雲だ。一生の最終段階にある恒星が外層のガスを放出し、中心に残った星がそのガスを照らして輝くのが惑星状星雲だが、とくにこのツインジェット星雲は双極星雲という特徴的な構造をしている。

「ツインジェット星雲」PN M2-9
「ツインジェット星雲」PN M2-9(提供:ESA/Hubble & NASA)

通常、惑星状星雲の中心には1個の星が存在するが、双極星雲の場合は星が2つ存在する連星系である。ツインジェット星雲の場合、太陽質量の0.6~1倍程度の星と1~1.4倍程度の星の連星で、大きいほうは外層を宇宙空間へ放出して一生を終えつつある段階、小さいほうはさらにその先の段階である白色矮星となっている。

惑星状星雲には中心星から球殻状に広がる構造のものが多いが、蝶の羽のようなツインジェット星雲の特徴的な姿は、連星のうち白色矮星がもう一方の周りを動くことでできたと考えられている。ただし、すべての双極星雲が連星系から作られたものかどうかはわかっていない。羽の広がる速度から計算すると、星雲が形成されたのはほんの1200年前のことのようだ。

羽の中に、中心から水平方向に広がる静脈のような青い部分がある。星雲の七色の輝きに比べると一見かすかだが、実は時速100万km以上で流れる激しい双極ジェットで、これも星雲中心の連星が生み出したものだ。さらに羽や双極ジェットだけでなく、連星はその周囲に、太陽から冥王星軌道の15倍もの大きさを持つ円盤も作っている。