【特集】ゴールデンウィークの星空案内
今年のゴールデンウィークの予定はもうお決まりですか? 休日の巡り合わせが悪くて、あまり長い連休がとれないという方も多いかもしれませんが、天文から見れば今年は絶好の巡り合わせです。月明かりのない空で惑星、流星、そして彗星を探してみませんか?
4つの惑星を探そう
空を見上げるなら、まず挑戦したいのが惑星の観察。幸運なことに、ゴールデンウィークから5月半ばにかけては4つの惑星が見やすくなります。
色の対比が絶妙、火星と土星
とくに簡単なのが、火星と土星。日没後の西から南にかけての空で見つけることができます。
昨年末に地球へ最接近した火星は、現在徐々に遠ざかっています。接近時にはふたご座とおうし座の中間付近でしたが、今はちょうどふたご座の頭の方にあります。よく見ると絶妙な位置ですね。ふたご座の頭で輝く弟の1等星ポルックスと兄の2等星カストルは、色の対比から「金星・銀星」とも呼ばれています。そこに真っ赤な火星が並ぶのです。現在火星の明るさは並の1等星に過ぎませんが、明るさがそろうだけに、色の対比がいっそう鮮やか。双子ならぬ三兄弟の個性を見くらべてみましょう。
火星の南側、やや高い位置にあるのが土星。こちらも、ちょうど1等星レグルスに接近しているところです。何気なく見ていると単に2つの星が並んでいるだけですが、よく見ると土星が黄色くてレグルスが白いことに気づくことでしょう。もちろん、望遠鏡をお持ちの方は土星に向けるのを忘れずに!
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夜半過ぎに登場する木星
次は木星。こちらは夜半過ぎから明け方にかけてしか空に現れませんが、圧倒的な明るさで輝いているので簡単に見つかることでしょう。連休中に夜更かししてしまったら、さそり座や夏の大三角、それに木星を見て、一足早く夏の気分を味わえるかもしれません。その中を通り抜ける天の川を見られる場所へ出かけることができれば、最高ですね。
木星と言えば忘れてはいけないのが、4つのガリレオ衛星。双眼鏡さえあれば木星のすぐそばに並んでいるのが簡単にわかるので、ぜひ用意しておいてください。
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難関の水星、今年最大の観察チャンス
最後は水星に挑戦してみましょう。いつも太陽のすぐそばを回っているので、肉眼で見える明るさながら観察がとても難しい惑星です。
そんな水星ですが、今年最高の観察チャンスが5月14日に巡ってきます。地球から見て太陽の東側に一番大きく離れる「東方最大離角」です。このとき水星は夕方に西の空で見えますが、日没時の地平高度がおよそ20度で、今年起きるすべての最大離角の中でも一番の好条件なのです。前後5日間ほどが見ごろでしょう。
好条件といっても、空はまだ明るいので慣れていないと探すのは難しいものです。コツは、ほかの1等星を利用すること。おすすめなのは、シリウス・ベテルギウスとたどる方法です。どうしても見つからない場合は双眼鏡の助けを借りましょう。
注意していただきたいのは、西の空を遮る建物などがなく、かつ安全なところで観察すること。そして何よりも、肉眼・双眼鏡にかかわらず絶対に太陽を見ないことです。太陽が見えている間は決して双眼鏡を空に向けたりせず、日没後30分ごろに探すようにしてください。
観察の証を手に入れよう!
4つの惑星をすべて見ることができたなら、記念の認定証を手に入れましょう! アストロアーツが協賛する「惑星ぜんぶ見ようよ☆」キャンペーンが5月末まで実施中です。これから参加される方には、期間中太陽の方向にある金星を見なくても、水星を見ることができれば認定証を差し上げる特別ルールが適用されます。
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「隠れた大流星群」を見よう
ゴールデンウィークの定番天文現象と言えるのが、「みずがめ座η(エータ)流星群」です。
放射点(流星が流れてくるように見える中心点)が夜半過ぎまで昇らず、地平高度も低いので、みずがめ座流星群の出現数は例年1時間あたり10個程度。しかし、観測条件のよい南半球ではペルセウス座流星群にも匹敵するメジャーな天文現象で、あのハレー彗星に起源を持つという「由緒正しき」流星群でもあります。
今年の予想極大時刻は5月6日の午前3時。ちょうど放射点が高くなってきて、日が昇る前の絶好の時間帯です。おまけに5月5日が新月で、月明かりは皆無。月曜以外では初めて、火曜の6日が振替休日になるのもラッキーですね。
- 観察のノウハウ
- 星空ガイド:「流星観測のすすめ」
- みずがめ座η流星群とハレー彗星の関係もシミュレーションで理解
- 公式ガイドブック活用編「金井三男のこだわり天文楽」
夕方の空で彗星が増光中
2007年11月に見つかったボアッティーニ彗星(C/2007 W1)が予想以上のペースで増光していて、天文ファンの間で話題を集めています。双眼鏡が必要になりますが、ゴールデンウィーク中は月明かりに邪魔されることもないので条件の良い空で観察したいところです。
薄明終了時の位置は、5月1日の場合、ほぼ真南の空で30度の高さです。また予想光度は、ゴールデンウィークのころで7〜8等台です。6月中旬にかけて増光が続くので、デジタルカメラで撮影すれば姿が変化する様子がとらえられるかもしれません。双眼鏡などによる眼視観測でも、尾の存在がはっきりして彗星らしい姿を楽しめると予想されています。
決して派手な天文現象ではありませんが、今回のように暗めの天体を双眼鏡で見つけたときの喜びはひと味違うものです。いつも空を肉眼で見渡しているだけという方にこそ、ボアッティーニ彗星の観察をおすすめします。
- 詳しい解説はこちら
- ニュース:5月、夕方の空でボアッティーニ彗星が見ごろ
天気が悪かったときは
連休中なのにあいにくの天気で夜空が見られないこともあるかもしれません。そんなときは、観測地のかわりにプラネタリウムや科学館にでかけてみましょう。ゴールデンウィークにあわせてイベントを実施している場所も少なくありません。
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