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月や月食をきれいに撮影するコツは、露出やシャッター速度などを調整して、取り入れる月の光の量を上手に抑えることです。部分食の時は明るくつぶれやすいのであまり光を取り入れないように。反対に、皆既食の時は暗すぎてうまく写らないので、たくさん光を取り入れるようにします。
今回の月食は月があまり高すぎない位置で起こるので、風景を取り入れた撮影もおすすめです。「月食写真集」も参考にしながら、一夜限りの天体ショーを思い出に残しましょう。
画像処理ソフトを使って色彩を強調すると、青い縁が現われます。地球大気のオゾン層が赤い光を吸収し、青い光だけが届いた部分と考えられています。クリックで拡大(撮影:2011年12月10日、門田健一さん)。
スマートフォンや携帯のカメラで月を撮影すると明るくつぶれた点のようにしか写りませんが、色や明るさの変化はわかるので、風景や友達と一緒に撮影して記念写真として楽しむにはじゅうぶんです。
月自体の撮影ツールとしてはあまり多くを期待できませんが、それでももうひと工夫したい場合には、自由に設定できない露出やシャッター速度をうまく“誘導”して、月の明るさに対応させましょう。
たとえばiPhoneのiOS7なら、明るい場所を背景に画面を長押しして「AF/AEロック」すると、「あまり光を取り入れなくてもよい」モードをキープできます。この状態で月に向けてシャッターを押すと、明るくつぶれずに撮影できます。高機能のカメラアプリを使うなどの方法もあります。
月を大きく写すには、アダプタ付きの双眼鏡や専用レンズを使うといった方法がありますが、露出をうまく調整できればサイズはそれほど気にならないかもしれません。
iPhone 4+iOS7のみで撮影した満月。明るい場所で画面を長押しして「AE/AFロック」してから撮影すると、ウサギの模様がなんとなくわかるぐらいに写すことができます。月食の進行とともに明るさも変わるので、試し撮りしながら調整しましょう(撮影:ウェブ編集部)。
コンパクトデジカメで撮影する場合は、フラッシュ禁止にして夜景モードやマニュアルモードに設定します。マニュアルモードでは、シャッター速度を速く設定すると月の明るさを抑えられます。皆既中の暗い月は、長めの露出で撮影します。オートモードしかない機種の場合、手前に明るい風景を入れて自動的に露出を短くすると、きれいなショットが撮れるかもしれません。
望遠レンズや望遠鏡を取り付けて月を大きく写すなら、デジタル一眼レフやミラーレスカメラを三脚に載せて撮影するのがおすすめです。
月刊「星ナビ」10月号「皆既月食特集」では、月食の進行に合わせた露出設定など撮影方法を詳しく紹介
風景とともに撮影した月。カメラを三脚に固定して、フラッシュ発光なしで数秒露出します。クリックで拡大(撮影:浅田英夫さん)。
多重露出による食の進行写真にもチャレンジしてみましょう。デジタル時代の今は、一定時間ごとに撮影したものを画像処理ソフトで比較明合成すれば、食の経過を収めた1枚の画像が簡単にできあがります。
撮影間隔の目安は5分ですが、とりあえず短めの間隔で、露出を変えたものを数枚ずつ撮っておけば合成時に調整することも可能です。
ステラナビゲータでは、焦点距離や画角設定して写野角をシミュレーションすることができます。クリックで拡大(星ナビ10月号より)。
ビデオカメラは意外にコンパクトデジカメよりも望遠機能が強力なので、月を大きく写すことができます。このときもマニュアルで露出を調整したり、夜景モードにするなど工夫してみましょう。月食を見ながらの会話も録音しておくといい記念になります。