31光年彼方のスーパーアース
【2019年8月7日 NASA/Cornell University】
うみへび座の方向約31光年に位置する11等級のM型矮星「GJ 357」は、太陽に比べて質量が3分の1と軽く、表面温度は約3500K(摂氏3200度)ほど低温の星だ。今年2月にNASAの系外惑星探査衛星「TESS」によるトランジット観測(主星の前を惑星が横切る際の減光の観測)から、3.9日周期の惑星「GJ 357 b」の存在が明らかになった。
GJ 357 bは地球の約1.2倍の大きさで、太陽~水星間の10分の1未満という主星に非常に近い軌道を回っている。その平衡温度(大気による温暖効果がない場合の温度)は摂氏約254度と見積もられている。「GJ 357 bはこれまでに発見されている系外惑星のうち、トランジットを起こすものとしては3番目に地球に近いものです。いわば『ホットアース』のような特徴をもち、生命には適さないとしても、大気組成の観測対象として最適な岩石惑星のうちの一つとして注目に値します」(スペイン・カナリア天体物理研究所 Enric Palléさん)。
このGJ 357 bの存在を確認するための追加観測を行っていたスペイン・カナリア天体物理研究所のRafael Luqueさんたちは、GJ 357の周りにさらに2つの惑星を発見した。これら3つのうち最も外側を回る「GJ 357 d」が特に興味深い惑星だ。GJ 357 dの質量は地球の約6倍で、サイズは不明ながら地球の1~2倍程度と考えられている。太陽から地球までの約5分の1の距離を55.7日周期で公転している。
この距離は中心星からほどよい距離にあって液体の水が表面に存在しうる、いわゆる『ハビタブルゾーン』に位置しており、GJ 357 dは火星が太陽から受けるのとほぼ同じ量のエネルギーを受けている。もし惑星に大気があれば、液体の水も存在する可能性がある。ただし、大気がない場合の平衡温度は摂氏マイナス53度で、住みやすいというよりは凍てついた環境といった方がよさそうだ。
もう一つの惑星「GJ 357 c」はトランジットは観測されていないが、複数の地上望遠鏡による長年の観測データに基づき、惑星の重力によって星がふらつく様子をとらえる視線速度法によって発見された。質量は地球の3.4倍以上で、他の2つの惑星の間にあって9.1日周期で公転している。平衡温度は摂氏約127度だ。
「これらの惑星は、過去数年間に行われた数多くの観測から隠れていました。興味深い星にTESSが向けられたおかげで、惑星を発見することができたのです」(Luqueさん)。
〈参照〉
- NASA:Confirmation of Toasty TESS Planet Leads to Surprising Find of Promising World
- Cornell University:TESS satellite uncovers its ‘first nearby super-Earth’
- Astronomy & Astrophysics:Planetary system around the nearby M dwarf GJ 357 including a transiting, hot, Earth-sized planet optimal for atmospheric characterization 論文
〈関連リンク〉
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