超高密度スーパーアースとその形成過程の手がかりとなり得る外側の惑星を発見
【2024年11月18日 アストロバイオロジーセンター】
国立天文台のJohn Livingstonさんたちの研究チームが、おとめ座の方向約750光年の距離にある太陽に似た恒星K2-360の周りに2つの惑星を発見した。
2つの惑星のうち内側の「K2-360 b」は、NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」による観測から2018年に発見されたものである。その後、ヨーロッパ南天天文台の観測により同惑星の性質が確認され、同時に外側の惑星「K2-360 c」の存在が今回新たに明らかになった。
K2-360 bは大きさが地球の約1.6倍、質量が7.7倍で「スーパーアース」に分類される。同種の惑星の中では最も高密度のものの一つだ。また、公転周期は21時間と極めて短い。「地球とほぼ同じ大きさの球体に地球の約8倍の質量が詰め込まれています。24時間未満で恒星を周回する『超短周期』惑星の中で、精密なパラメーターが求められたものとしては、最も高密度です」(Livingstonさん)。
K2-360 bの密度が極端に高い理由としては、かつてもっと大きかった惑星が恒星の強い放射により外層を失って、中心核だけが残された可能性が考えられている。「内部構造モデルから、この惑星が岩石のマントルに囲まれた相当な大きさの鉄の核を持っている可能性が示されています。表面は恒星からの強い放射を受けていて、マグマで覆われているかもしれません。このような惑星は、天の川銀河全体の様々な条件下での地球型惑星の形成と進化の過程の理解に役立ちます」(カナダ・マギル大学 Mahesh Herathさん)。
一方、外側の惑星K2-360 cは質量が地球の15倍以上で、9.8日周期で公転している。この惑星は内側の惑星K2-360 bの軌道に大きな影響を与えた可能性があるという。「私たちの力学モデルは、K2-360 cが『高離心率移動』というプロセスを通じて内側の惑星を現在の軌道に押し込んだ可能性を示しています。このプロセスでは、まず重力相互作用によって内側の惑星の軌道が離心率の高い楕円形となり、その後に潮汐力によって、内側の軌道が徐々に恒星の近くで円形化します」(デンマーク・ニールス・ボーア研究所 Alessandro Traniさん)。
恒星の近くを回る惑星の多くは、誕生したころの原始ガス円盤との相互作用で内側に移動したと考えられているが、K2-360 bはこれとは異なる「高離心率移動」で現在の軌道へ移動してきたのかもしれない。「K2-360系は、極端な環境での惑星の形成と進化を研究するための優れた実験室です」(Livingstonさん)。
〈参照〉
- アストロバイオロジーセンター:超高密度スーパーアースとその形成過程に手がかりを与える外側の惑星を発見
- Nature Scientific Reports:An ultra-short-period super-Earth with an extremely high density and an outer companion 論文
〈関連リンク〉
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