全天の3分の1をカバー、10億個の銀河マップ

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6年にわたり実施されてきた「DESIレガシー撮像サーベイ」の最終データが公開された。10億個以上の銀河の分布図や、1200例以上の重力レンズの新発見といった成果が発表されている。

【2021年1月20日 NOIRLab(1)(2)(3)

「DESIレガシー撮像サーベイズ(DESI Legacy Imaging Surveys)」は、複数の地上望遠鏡と宇宙望遠鏡が6年の歳月をかけて実施してきたプロジェクトだ。北天を中心に全天の約3分の1を探査し、カバー領域の広さ、観測感度の高さ、銀河の数といった点において、これまでで最高レベルのデータが得られている。

銀河群「コープランドの七つ子」
銀河の例、しし座の銀河群「コープランドの七つ子」(提供:DESI Legacy Imaging Surveys/LBNL/DOE & KPNO/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA)

DESIレガシー撮像サーベイズで得られたデータから作成された銀河の2次元分布図には、10億個以上の銀河が含まれている。総画素数は10兆ピクセル以上、情報量は1ペタバイト(1000兆バイト)にも及ぶ膨大なものだ。ここから3500万個の銀河と240万個のクエーサーが選び出され、今後5年間かけて分光観測により天体の距離と後退速度が測定される。これらの情報から作成される銀河の3次元分布図は、宇宙膨張やダークエネルギーの性質に関する研究に役立てられる。

また、DESIレガシー撮像サーベイズのデータを利用した機械学習から、重力レンズが新たに1200例以上発見された。宇宙の膨張率を表すハッブル定数など、宇宙の基本的な特性を知るうえで貴重なデータをもたらしてくれるものだ。

重力レンズ
DESIレガシー撮像サーベイズで新発見された重力レンズの例(提供:DESI Legacy Imaging Surveys/LBNL/DOE & KPNO/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA)

さらに、DESIレガシー撮像サーベイズのデータは、数千人がボランティアで参加した市民科学プロジェクト「バックヤード・ワールズ:プラネット9(Backyard Worlds:Planet 9)」でも活用された。このプロジェクトでは太陽から65光年以内の範囲について、新発見された38個を含む計525個の褐色矮星のリストと3次元分布図という成果が得られ、天の川銀河の他の領域に比べて太陽の近傍には多様な天体が存在していることなどが確認された。

褐色矮星の3次元マップ
太陽から65光年以内の褐色矮星(赤い点)の分布図(提供:NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva)

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