彗星は地球型惑星の炭素の供給源かもしれない
【2021年3月15日 NASA】
太陽系の最外縁部であるオールトの雲からやってくる長周期彗星は長い間凍結状態にあり、熱の影響をほとんど受けていないことから、太陽系初期について知る機会を与えてくれる。NASAの航空機望遠鏡「SOFIA」の観測によると、地球など太陽系の内側の惑星に彗星が炭素を供給した可能性があるという。
2013年10月に発見され、2015年末から2016年にかけて太陽に接近し6等級まで明るくなったカタリナ彗星(C/2013 US10)も、そのような長周期彗星の一つだ。SOFIAがカタリナ彗星を赤外線で観測し、彗星の核から伸びる尾に含まれるダストとガスの組成を調べたところ、カタリナ彗星に豊富に炭素が含まれていることが示された。
地球をはじめとする太陽系の岩石惑星は太陽系形成初期には非常に高温であったため、炭素などの元素は失われたり枯渇したりしてしまったと考えられる。また、太陽系の外側にある炭素については、木星の重力により太陽系の内側に入ってくることが阻害されていた可能性がある。このような状況において地球に炭素をもたらしてくれたのが、カタリナ彗星などの長周期彗星だったのかもしれない。
「炭素は生命の起源を知るための鍵です。地球が形成中に十分な炭素を閉じ込めることができたかどうかは、まだわかっておらず、彗星が炭素の重要な供給源であった可能性も考えられます」(米・ミネソタ大学 Charles Woodwardさん)。
〈参照〉
- NASA:Comet Catalina Suggests Comets Delivered Carbon to Rocky Planets
- The Planetary Science Journal:The Coma Dust of Comet C/2013 US10 (Catalina): A Window into Carbon in the Solar System 論文
〈関連リンク〉
- SOFIA
- アストロアーツ 天体写真ギャラリー:カタリナ彗星(C/2013 US10)
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