オシリス・レックス、地球に向け帰還開始

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5月11日にNASAの探査機「オシリス・レックス」が小惑星ベンヌを出発し、地球帰還に向けた2年半の旅を開始した。

【2021年5月14日 NASA(1)(2)

2018年12月4日(日本時間、以下同)から小惑星ベンヌの近くで探査を続け、2020年10月21日にはベンヌにタッチダウンしてサンプルを回収したNASAの探査機「オシリス・レックス」が、そのサンプルと共に地球へ戻ってくる。

探査機をベンヌに向け続けるために使われたナビゲーションカメラは4月9日に最後の撮影を行い、スイッチが切られた。NASAの深宇宙ネットワーク局からの無線信号送信による運用が始まり、5月11日に探査機はメインエンジンを噴射して時速約1000kmでベンヌから遠ざかり、地球へ向けた2年半の旅を開始した。

ベンヌ
4月9日にオシリス・レックスのナビゲーションカメラがとらえた小惑星「ベンヌ」の最後の画像(提供:NASA/Goddard/University of Arizona; Writer Daniel Stolte, University of Arizona)

オシリス・レックスは太陽を2周してから2023年9月24日に地球に接近する予定だ。その際、ベンヌのサンプルが入ったカプセルが探査機から分離されて大気圏に突入し、パラシュートを開いて、米・ユタ州西部の砂漠地帯にある軍事試験訓練地域内へ着地して回収される。

ただし、オシリス・レックスの軌道調整がうまくいかなかった場合、カプセルが大気圏突入に失敗して失われるおそれがある。その場合、探査機は一旦地球から離れ、2025年にカプセルを放出することになる。

オシリス・レックスの燃料には余裕があるため、カプセル分離後に地球を離れて別の小惑星へ向かう延長ミッションも予定されている。運用チームは今夏に延長ミッションの実現可能性について検討するという。

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