空に浮かぶダイヤモンド、ベンヌとリュウグウの形の成因

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ほぼ同時期に探査機が訪れた2つの小惑星ベンヌとリュウグウは共通してダイヤモンドのような形をしていた。その成因を単純な力学モデルで説明する研究成果が発表された。

【2021年9月8日 沖縄科学技術大学院大学

2018年から2021年にかけて、NASAの探査機「オシリス・レックス」は小惑星ベンヌを、JAXAの探査機「はやぶさ2」は小惑星リュウグウを探査した。相次いで近くから撮影された2つの小惑星の姿は、どちらもダイヤモンド形(あるいは、そろばんの珠に似た形状)で非常に似通っていることが注目されている。しかし、小惑星がこのような形になるプロセスについては決定的な説明がない。

両小惑星は、重力によってゆるく集まっている小さな岩塊で構成されている「ラブルパイル(がれきの寄せ集め)」だ。これを粒の集合体としてとらえれば、砂や砂糖のような粒状体のふるまいを扱う粒状体物理学が適用できる。沖縄科学技術大学院大学(OIST)のTapan Sabuwalaさんたちの研究チームは粒状体物理学の単純な概念を小惑星に応用し、自転の効果を役割をモデルに加えて、なぜ2つの小惑星がダイヤモンド形をしているのかを調べた。

小惑星ベンヌの写真とシミュレーション画像
(左)小惑星「ベンヌ」、(右)シミュレーション(提供:沖縄科学技術大学院大学リリース)

平らな地面に砂を落とすと、円錐の形に積もっていく。しかし、小惑星に粒が蓄積していく過程を計算すると、自転を考慮に入れればダイヤモンドの形になるという。研究チームはシミュレーションで小惑星の形を再現することに成功し、モデルの正しさを裏付けた。

従来のモデルではベンヌやリュウグウは球体からダイヤモンド形に変化したと考えていたが、研究チームによれば両小惑星は形成の初期段階からダイヤモンドの形だったという。これは「はやぶさ2」などの観測に基づく分析と一致する結論だ。

「これまでのモデルでは、このようなダイヤモンド形になった理由は、自転による力の作用で物質が両極から赤道に向かって移動したためだと考えられていました。しかし、それらのモデルを使ったシミュレーションではダイヤモンド形にならず、平らだったり非対称になったりしたため、何かがおかしいと思っていました」(Sabuwalaさん)。

「粒状体の流れという単純な概念を用いて、ベンヌやリュウグウがどのようにして不思議な形になったのかを説明することができました。単純な概念で複雑な問題を解明することができたことが、私たちの研究の最も優れた点と言えます」(OIST Pinaki Chakrabortyさん)。

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